【上海(中国)4日=竹本穂乃加】アイスダンスで、小松原美里(31)尊(32)組(倉敷FSC)が日本カップル最上位の8位となり、3月の世界選手権(カナダ・モントリオール)出場権を獲得した。フリーダンス(FD)111・41点の合計182・70点を記録。日本の若手2組をリズムダンス(RD)、FDともに上回り、貫禄を示した。吉田唄菜、森田真沙也組(木下アカデミー)は10位、田中梓沙、西山真瑚組(オリエンタルバイオ)は11位だった。

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氷の上で抱き合った。緊張感が漂う中、成熟したラブストーリーを演じ、目指したFD110点超えを達成。先に演技した日本勢2組より「良い点数を出したい。世界選手権に行きたい」と発奮し、自己ベストにつなげた。美里が「良い演技ができた」と胸を張れば、尊は「やっと(達成)できた」とほおを緩ませた。

今季は想定外の事態が続いた。昨年12月の全日本選手権後、世界選手権代表は「実力が拮抗(きっこう)しているため」として発表が保留となった。その全日本では5度目の優勝を飾っていたが、FDは吉田、森田組と田中、西山組の点数を下回っていたことで「異例の措置」として、4大陸選手権の日本勢最上位組に出場権が与えられることとなった。

さらに、1月に美里が練習中に転倒し負傷するアクシデントが襲った。股関節が外れ、歩けない状況。大会直前に休養を取らざるを得ない「足踏み」状態に陥ったが、2人は前を向き続けた。

「アスリートは乗り越えていかないといけない」

RD後、美里は言った。この日のFDも足の痛みはあったが「新しい戦いをして、良い演技ができて、チャリンと重ねたかな」。1つ1つの演技を積み重ねていくことが、ポイントにつながる-。ニッコリと独特の表現でかみしめた。

世界選手権は、2人の拠点モントリオールで開かれる。地の利を感じながらも「世界選手権は、世界選手権なので」と美里。結成1年目で急成長する若手2組の思いも背負い、3大会ぶりの大舞台へ挑む。

 

○…若手2組は初の世界選手権代表に届かなかった。「うたまさ」こと吉田、森田組は、小松原組とは16・57点差。昨年6月にカップルを結成したばかりで、森田は「まだ始まったばかり」と前を向き、吉田も「やり切った」と受け止めた。「あずしん」こと田中、西山組は、田中が昨年末に左手を手術したばかりの状況下で健闘。西山は結成1季目を振り返り「信頼関係を深めることができた」とうなずいた。

 

○…アイスダンスFD終了後にはエキシビションが行われ、総勢29人が演技を披露した。女子覇者の千葉百音は、昨季フリー曲「バタフライラヴァーズ」を演技。開催地中国の名曲を滑り、喝采を浴びた。ペアで銀メダルの三浦、木原組は深い青の衣装で昨季SP曲「You’ll Never Walk Alone」を披露。大トリを務めた男子覇者の鍵山は、オペラ音楽に乗せた高速スピンなどで魅せた。