ノルディックスキーのワールドカップ(W杯)ジャンプ男子で41歳7カ月の葛西紀明選手(土屋ホーム)が11日、オーストリアのバートミッテルンドルフでの個人第13戦で史上最年長優勝の快挙を達成した。トップ選手が脱帽した快勝で、7度目の冬季五輪となるソチへ弾みをつけた。

 1989年12月にW杯に初参戦した葛西選手は「カミカゼ」の愛称を持ち、ジャンプの本場欧州で知名度が高い。438試合目の個人戦は、200メートル前後を争う巨大なフライングヒルが舞台だった。1回目にトップで、2回目の最後に飛ぶ直前には約5万人のファンの多くが旗を振り「カサイ!」と声援を送った。

 鋭く空中に飛び出すと歓声に押し上げられるようにぐいと伸び、1回目を1メートル上回る197メートルに着地した。ジャンプは審判員の飛型点などが出るまでは結果が確定しないが、それを待つ必要もないほどの完勝だった。

 電光掲示板に成績が表示される前に、先に飛び終えたW杯最多勝で24歳のグレゴア・シュリーレンツァウアー選手(オーストリア)らが駆け寄り、帽子を脱いでお辞儀して握手を求めた。

 2位になった21歳のペテル・プレブツ選手(スロベニア)は「年は取っていても心が若い。すごく励みになる」と話した。ドイツの公共放送ARD(電子版)は「『驚異』という言葉はこれから『カサイ』にすべきだ」と偉業をたたえた。