シドニー五輪女子マラソン金メダリストの高橋尚子(35=ファイテン)が、同一シーズンでの日本3大マラソン完全制覇の仰天プランを明かした。24日、都内で会見し、東京国際(11月16日)大阪国際(来年1月25日)名古屋国際(同3月8日)に連続出場する意向を表明。引退への花道ではなく「結果を出したい」と全レースで優勝を目指すことを宣言した。一方で4カ月で3レースという非現実的な挑戦に「無謀」という指摘も多く、日本陸連は困惑を隠せなかった。

 五輪の夢を失ったQちゃんが、再び新たな夢に瞳を輝かせた。屈辱の惨敗を喫した9日の名古屋国際以来、約15日ぶりに公式の場に現れた高橋は、いきなり仰天プランを切り出した。

 高橋

 東京、大阪、名古屋。3大会連続で出るのが昔からの夢。人生を振り返った時に後悔したくない。どういう結果であれ出る。

 東京国際が今年を最後に終了するため「どうしても今年しかない」と決意したという。しかし、市民ランナーで3大会に出場する選手はいるが、上位を狙うため十分な調整期間を必要とするトップ選手では異例のこと。周囲からは「最後のひと稼ぎ」と出場料目当てと指摘する声も漏れているが、本人はあくまで競技者としての挑戦を強調した。

 高橋

 名古屋でダメだったので大きなことは言えないけど(優勝を)目標に頑張りたい。楽しんで走るわけでなく、1つひとつ全力で準備万端で出る。

 練習で1日70キロを走破することもある高橋は、以前からレース間隔は重要視していなかった。01年9月のベルリンで女子として初めて2時間20分の壁を破る世界最高記録を樹立したときも、1週間後にシカゴを走る計画をしていた。日本陸連にストップされたが、今も「走れば結果が出せた」という無念がある。

 高橋

 これまでもレース前は週1回ペースで40キロを走るし、大丈夫。

 3大会は来夏の世界選手権代表選考レースになる見通し。高橋は今月10日に日本陸連の強化指定選手から外れたが、好成績を残せば代表に選出される可能性も出てくる。再び世界への道が開ける。そこは本人も意欲を見せた。

 高橋

 (3大会の)結果として、もしもそういうものがついてくるなら、また世界で戦える舞台に立ちたいですね。

 昨年11月の東京国際で野口みずきが優勝し、日本人として初めて国内3大マラソンを全制覇した。その偉業を1シーズンで達成すれば高橋は、最後に再びライバルを超え、日本のマラソン史に名前を刻むことになる。もっとも3レース後の引退については明言はしなかった。

 高橋

 その可能性があるともないとも言えない。4年ぐらい前から『このレースが最後かも』と思い続けていたから。でも走るのが好きなんです。

 早ければ5月にも米合宿に出発する。【高田文太】