2月のフィギュアスケート4大陸選手権(台湾)男子2位の羽生結弦(宮城・東北高)が14日、仙台市泉区での同校始業式に出席した。新2年生となった羽生は、被災後初めてクラスメートと顔を合わせ「ホッとしました。少しは元の生活に戻れたのかなと思う」と、ひとときの安心を感じた。

 3月11日の震災発生時は、アイスリンク仙台で練習中だった。真っ暗闇の中、リンク中央に逃げ、スケート靴を履いたまま屋外に避難した。「エッジのカバーもつけずにそのまま出た。どうしようもなかった」と当時のことは鮮明に覚えている。市内の自宅も被害を受け、家族4人で4日間、避難所で生活した。

 「スケートをしていていいのか」。そんな思いに駆られる中、28日のセンバツ高校野球1回戦をテレビで観戦し「全力でやっているのを見て、自分もやらなくちゃと思った。自分にはスケートしかない」と迷いを振り切った。練習場の復旧めどが立たず青森・八戸、横浜などで練習とアイスショーに出演していく。「『羽生結弦の演技を見て希望を持てた』と言われるような演技をしたい」。【今井恵太】