アテネ五輪柔道男子100キロ超級金メダリストの鈴木桂治(31=国士舘大教)が五輪イヤーに結婚した。11日に都内で会見し、05年秋から交際してきた会社員の響子さん(29)と今月5日に婚姻届を提出したことを明かした。昨年末に左肘の遊離軟骨除去手術を受け「崖っぷち」と位置づけるロンドン五輪代表争い。守るべき伴侶を得て、五輪出場と2度目の金メダル獲得へ、闘志を燃やした。

 鈴木の人柄が表れた会見だった。お相手の響子さんは都内在住の一般女性。当初、名前を明かす予定はなかった。だが「名前を言うつもりはない…って言うと性格悪くなっちゃいますかね」と、笑いを誘って明かした。「絵心がないので描くと怒られる」と言いながらも似顔絵作成に応じた。「若いころは(歌手の)鈴木亜美似と言われたそうです。僕は誰に似ているとも思いませんけど…」。その顔はうれしそうだった。

 05年世界選手権で優勝した直後の秋に出会い、交際が始まった。響子さんはもともと「柔道家」の顔を知らなかったという。家で柔道の話は一切ない。勝てない時期が続いても普段通りに接してくれたことで「温かい気持ちになった」。

 結婚はロンドン五輪後を考えていた。だが、ロンドンに向けて「私はいくらでも協力する」と言ってくれた。「柔道と彼女を守っていきたい」。昨年11月に出掛けた温泉旅行で、部屋に花と「結婚しよう」と書いた手紙を置いてプロポーズした。五輪イヤーの今年、最初の大安吉日を選んで、5日に結婚した。

 五輪年の結婚は、北京五輪前の井上康生コーチに続く。同コーチには「結婚は大変だぞ。でも、腹を決めているなら彼女のためにも早い方がいい」と祝福された。響子さんはコーチの妻亜希さんと連絡を取り、柔道家の妻としての心構えを教わっているという。

 「責任感がある。今までの『勝とう』という気持ちに、もう1つ『勝とう』という気持ちがプラスされる。僕1人の力だけじゃなく2人で代表権を取って、ロンドンでもう1回金メダルを取りたい」。守るべき者とともに、柔道人生を懸けた「集大成」の年に臨む。【今村健人】