<女子ソフトボール:世界選手権>◇最終日◇22日◇カナダ・ホワイトホース

 4年前の北京五輪で金メダルを獲得した日本が、ロンドン五輪開幕直前、再び世界一の栄冠に輝いた。決勝で米国に延長10回2-1で競り勝ち、1970年以来42年ぶり2度目の優勝を果たした。3大会連続準優勝の日本は、米国の8連覇を阻んだ。4連投のエース上野由岐子(30=ルネサスエレクトロニクス高崎)は、3安打1失点の好投。打線は1-1で迎えたタイブレークの10回1死三塁で、大久保美紗(26=同)がスクイズを決めた。

 日本に悲願の金メダルをもたらした北京五輪から4年後の夏、上野がさらに進化した投球で世界王者に導いた。「五輪のときの気持ちを思い出した。緊迫した中でも投げながら楽しめた。ここまで踏ん張って気持ちが切れることなく投げられるとは思わなかった」と笑顔に充実感を漂わせた。

 敗者復活戦(3位決定戦)に完封勝ちしてから約1時間後、宿敵米国との決勝が始まった。北京五輪では準決勝から2日間で3連投したが、今大会は3日間の決勝トーナメントで4連投目となった試合。過酷さは上回ったが、それ以上に22日で30歳を迎えたエースは進化していた。

 7回まで得点を許さずに延長戦に突入。9回に1度は勝ち越したが、その裏の2死、あと1ストライクで勝利という場面で同点打を浴びた。しかし「自分にはいろんな経験があるから」と気持ちを入れ直すと、打線は10回、大久保の初球スクイズで決勝点を奪った。

 4試合合計で32イニングを投げて17安打4失点、33奪三振。「最後は疲れて握力がなかった。意外と言うとおかしいが、自分自身が思っていた以上によく投げた」。その多彩な変化球を絡めた投球術に、米国のエリクセン監督も「4年前までは球の速さで勝負した。それが今回、球を動かしていたのが大変印象的だった」とうなった。

 宇津木麗華監督は「後悔だけはしたくなかった。とにかく攻めようと思った」と涙ぐんだ。五輪競技から除外されても「ソフトボールに取り組む姿勢は変わらない」と誓うエース。4年前と同じ輝きを、五輪直前に放ってみせた。

 ◆北京五輪ソフトボール日本代表

 予選リーグで、日本は6勝1敗の2位通過。決勝トーナメント準決勝で米国に1-4で敗れたが、オーストラリアとの3位決定戦に4-3で競り勝ち決勝へ。再び米国と相まみえ、エース上野が7回を4奪三振、91球(公式記録は故意四球の4球を含む95球)で完投して3-1で勝利。金メダルにチームを導いた上野は、準決勝以降の2日間で28回409球(同413球)を投げ抜いた。