<バレーボール:全日本高校選手権宮城大会・東北3-0仙台商>◇6日◇男子決勝◇仙台市体育館

 東北がストレートで仙台商を下し、8年連続27度目の全国出場を決めた。中学3年の昨夏まで野球部員だった身長199センチの1年生センター小野寺太志がブロックの中心になって活躍。チームは第3セット、19-23から逆転する粘り強さも発揮した。

 全国大会で上位進出を狙う東北のスーパー1年生が、“秘密兵器”としての片りんを発揮した。199センチの小野寺は、先輩たちに囲まれても頭がニョキッと飛び出している。来年1月の本大会でも屈指の長身選手になるであろうミドルブロッカーが、1、2セット続けてセットポイントからブロックを決め、チームを勢いに乗せた。「(持ち味は)高さを生かしたブロックと高い打点のクイックだと思います」。小野寺は自分のセールスポイントをはっきりとPRした。

 父学さんは東北高バレー部OBで順大でインカレ出場。母いく子さんも現役時は社会人チームで活躍した。ともに身長180センチ超のサイドアタッカーで、小野寺は恵まれた体格と才能を両親から受け継ぐ。

 バレーに転向したのは昨年夏だった。小学校時代から野球に没頭し、名取一中3年時は3番、一塁手で県中学総体出場も初戦敗退。その後、長身を生かしてみようと「体育の授業でやった程度」だったバレーを始め、年末には宮城選抜で都道府県対抗全国中学大会に出場した。オリンピック有望選手賞も獲得し、あっという間に「将来の五輪候補」に挙げられた。

 高校入学後はルールの勉強から始めたという。まだまだ粗削りだが全日本ユース代表合宿に招集されるなど、昨年からのレギュラーアタッカー全員が残る東北でも輝きを放ち始めた。この日の決勝でも、ブロックだけでなく随所で中央からの速攻を決めた。まだ、バックアタックの練習はしていないが、近いうちに身長が200センチを超えるのは間違いなく、スーパーエースとしての期待も背負う。

 小野寺は「相手エースを止めないと勢いづくので、絶対に止めたい」と幼さの残る顔を引き締める。バレー歴1年余りの大器が、全国のステージに闘志を燃やした。【佐々木雄高】