6月に部員がコカインを所持したとして2人が立て続けに逮捕され、活動を自粛していたラグビー・トップリーグのトヨタ自動車が8日、愛知・豊田市内で会見し、ラグビー部の今後の活動について発表した。

部の存続について豊田章男社長と話し合ったという河合満副社長は「従業員が2人も逮捕者が出た時点で、世間に対して申し訳ない、廃部にしようと考えた。だが、応援してくれる方や地域の方のこともあり、廃部が本当に正しいことなのか。謙虚に素直に認められるまでゼロから頑張っていこうという結論に至った」と話した。

部は存続させるが、硬式野球部や女子バスケットボールなどと同じカテゴリーだった重点強化運動部から外し、一般の運動部として再出発する。今後はボランティアなどを行いながら、段階的に活動を再開していくという。8月19日に施設での個人活動を、ワールドカップ(W杯)日本大会後の11月3日にチーム活動を再開させる。

W杯後、来年1月のトップリーグ参加については、今後のボランティアや地域活動の内容を日本ラグビー協会に報告し、判断を仰ぐ。公式戦への参加が未定のため、ジェイク・ホワイト監督の処遇については部の再建が優先として、明言を避けた。

6月の元部員逮捕後、再発防止に向け、全部員、スタッフに加え、寮が同じ硬式野球部、スケート部、同じ敷地内で練習する女子ソフトボール部も毛髪検査を行い、他選手への広がりはないことを確認。このタイミングでの会見に愛甲和弘スポーツ強化・地域貢献室室長は「独自に動くのではなく、捜査に全面的な協力をした。毛髪検査は7月頭から実施し、代表選手としてチームを離れていた選手の事実確認も取れたので」と経緯を説明した。

同社ラグビー部は今後「ラグビー部行動指針」を定め、インティグリティマネジャーを外部から召喚し、アドバイスを仰ぐこと、さらに入団前の選手に対する検査と入団後の抜き打ち検査も行うことを明らかにした。

現在ラグビー部員は、就業時間前に来て、社員を出迎えるなど、社会人として気持ちを改め、業務を行っている。地元の豊田スタジアムでは来月から始まるW杯で日本-サモア戦(10月5日)を含めた4試合が行われる。盛り上がりに水を差す形となったことに河合副社長は「本当に申し訳ない。応援してくれる人への感謝の気持ちを忘れて勝つことだけを考えてしまっていた。人間形成からしっかり教えて、すべての人に認めてもらえるように努めていきたい」と信頼回復へ決意を語った。【松熊洋介】