ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会が今月20日、日本-ロシア(東京・味スタ)で開幕する。

6月に日本ラグビー協会新会長に就任した森重隆氏(67)が、現役時代に所属した新日鉄釜石の先輩で、前身の富士鉄釜石から阪急ブレーブス入りした山田久志氏(71=日刊スポーツ評論家)と対談。旧知の2人が、釜石への思いをはじめ、21年秋発足を目指すプロリーグ、人気向上、ファン開拓について語り合った。

  ◇    ◇    ◇

同じ釜の飯を食った2人の会話は尽きることがありませんでした。製鉄業が日本の基幹産業として栄えた時代。森会長が所属した新日鉄釜石ラグビー部は「北の鉄人」、前身の富士鉄釜石でプレーした山田さんらは「東北の暴れん坊」と称されたそうです。

前々から家族ぐるみの付き合いがあるお互いが「人生の転機」というのは、頂点を極めた実績だけでなく人との出会いが生きる道しるべになったからです。明大出身の森会長は、7年連続日本一当時の部長、三笠洋一さん(故人)から新日鉄釜石に勧誘されます。

明大で恩師北島忠治監督に「前へ」の精神をたたきこまれ、社会人になってから三笠さんに「世間の見方、マネジメントを学ぶことができる」などと諭されて選手兼監督に就き、経営的視点を磨くことにもつながっていくのでした。

山田さんが「投手のイロハを教わった」のは富士鉄釜石監督だった中谷正人さん。若造のサブマリンを育てながら都市対抗に導いたことでプロスカウトの目に留まるようになります。今では“師”として仰がれる立場になったプロフェッショナルのご両人が次に会うのはW杯後、銀座の夜の祝勝会になりそうです。【編集委員・寺尾博和】