ラグビーワールドカップ(W杯)が開幕した20日、開会式と日本-ロシア戦の会場となった東京・味の素スタジアムには、プラチナチケットを手にした多くの観客が訪れ、歴史的な一戦に酔いしれた。

会場には試合を待ちわびた気の早いファンが午前から並び始め、開場時間の午後3時には600人ほどが列をつくった。入場ゲート前の広場ではロシアから訪れたファンが同国の国歌を歌ったり、太鼓のパフォーマンスが行われたりするなど、試合前から大きな盛り上がりをみせた。

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午後6時半からの開会式まで3時間前にはもう、会場周辺は人だかりだ。スタジアム入り口ゲート周辺では笑顔とともに、フランス語、英語、ロシア語などさまざまな言語が飛び交った。いよいよ始まる国際的ビッグイベントを、多くの人が心待ちにした。

ゲート前広場では、約50人がロシア国歌を斉唱していた。ラグビーW杯日本初開催にあたり、参加国の国歌を歌っておもてなしをしようというプロジェクト「スクラムユニゾン」に賛同したミュージシャン村田匠さんが仕掛け人。「ロシアの人たちと一緒に、盛り上がりました! 歌うと一体感がわきます」と手応えを口にした。

優勝候補ニュージーランドから休暇を利用して訪れた英語教師ジェーソンさん(47)は「日本は(母国に次ぐ)セカンドベストチームだ! 応援するよ」。来日してうどんのおいしさに魅了されたといい、「日本はすばらしいね」と笑顔をみせた。

なかにはチケットがなくても、盛り上がりを共有したいと訪れた人の姿も。東京・府中市の鵜飼雅信さん(60代)と久実子さんは、夫婦で会場周辺の熱気を満喫。久実子さんは「入れなくて残念だけど、来年のオリンピック(五輪)の(7人制)ラグビーのチケットが当たったので楽しみです」と話した。

大学までラグビーをしていたという鷲見賢司さん(41)は息子の和真くん(8)と共に桜のジャージーを着て観戦した。「大好きなラグビーが地元で開催されるなんて。W杯をきっかけに、息子もラグビー好きになってくれたらうれしい」と笑顔。この日から始まった44日間の世界最高峰の戦いに、思いをはせていた。