日本代表のSO田村優(30=キヤノン)が、チームを勝利に導いた。

先制好機のPGを外すも、ぶれない技術と精神力で巻き返して14得点。15年大会は控えSOだった日本の司令塔が、ひのき舞台に4年間の成長を刻みつけた。

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日本代表SO田村優(30=キヤノン)がぶれない技術と精神力で持ち直し、14得点と勝利を呼び込んだ。

最初は左にひっかけた。前半5分、中央43メートルからのPG。ポールの間に長距離砲を打ち込めれば、流れをつかめる先制好機。それを外した。ただ、ボールの行方を見届けると、手を1つたたき、顔を1回ぬぐい、すぐに仲間に指を立てた。動じるわけがなかった。

プレースキックで考えるのは、いつも同じこと。「まっすぐ、ぶれなく飛ぶこと」。そのための動作、思考も常にぶれない。「真ん中にもう1本ポールを仮想して蹴る」「蹴るルーティンを一定にする。今回こうしてみよう、ああしてみようとすると崩れてくる」。前回大会の五郎丸に比べれば、シンプルな動作。「より簡潔に、より一定に」と余分をそぎ落とし、球も考えもぶれない。

「ビッグマッチの方が成功率が高い」。その自負が証明されるまで長い時間は要らない。17分に31メートルのPGを放り込み、39分には約40メートル、後半20分には左隅から39メートルの難しいゴールも決めた。立て直し、最初の失敗を忘れさせた。

キック以外でも、FWとBKを攻守でコントロールしてみせた。「アイルランドに勝つと信じて準備していた」。動じない男は、高らかに誇った。