日本ラグビー協会は24日、都内で次期日本代表ヘッドコーチ(HC)の選考委員会を開き、ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会で日本を史上初の8強に導いたジェイミー・ジョセフ氏(49=ニュージーランド)に続投要請することを決めた。

当初は2年契約の予定だったが、W杯での結果を踏まえ、来年1月から2023年W杯フランス大会までの4年間の延長を要請する。協会は海外からも複数のオファーが届いている指揮官の流出を避けるため好条件で慰留に努める。

   ◇   ◇   ◇

選考委員会は、全会一致でジョセフHCの一本化を決めた。ルールにのっとり、複数の候補を擁立したが、日本協会の森重隆会長(67)は「今大会の戦績に鑑み、ヘッドコーチの要請をすることを選考委として決めた。ベスト8ということで、ダントツでジェイミーでいこうということになった」と経緯を説明した。

日本協会は、昨年12月から水面下で続投の交渉を進め、W杯開幕前には2年契約で基本合意していた。一部の幹部は開幕前に条件提示する姿勢を示していたが、協会内での足並みがそろわず、後手に回る展開となった。W杯での活躍を受け、海外から複数のオファーが届く中、日本協会から正式な続投要請がないことに、ジョセフHCも不信感を募らせていたという。

続投要請が遅れた背景について、森会長は今年6月末の協会内での組織改編に伴う引継ぎの遅れや、協会の資金不足が影響したと説明。だが、結果を残した指揮官の流出を阻止するため、現在5000万円程度とみられる年俸についても、「(金銭面でも好条件を)出さないといけない。世界がそういう状況だから」と強調。報道陣から「1億円前後?」と問われると、「それぐらいになるんじゃないか」と述べた。

今後は、早急に金額提示をする方針で、交渉を一任された藤井強化委員長は「ジェイミー本人は、お金どうこうではないが、ここまで交渉が遅れてしまったら海外のオファーに勝つにはお金しかない部分もある。交渉は簡単ではない」と難航する可能性も示唆した。

また、長谷川慎スクラムコーチら、ジョセフ体制を支えてきたコーチ陣についても、ジョセフHCの意思を尊重しながら、続投に向け交渉していくとした。協会が一枚岩となり、指揮官に思いを届けていく。