【バルセロナ(スペイン)26日=田口潤】水泳世界選手権で最大8種目に出場する萩野公介(18=東洋大)が最初の種目から偉業を狙う。日本代表チームは会場のサンジョルディ特設プールで初練習。萩野は出場最初の種目の男子400メートル自由形で日本記録&メダル獲得を宣言した。同種目の世界大会メダル獲得なら、60年ローマ五輪の山中毅以来の快挙。金を含む複数メダルへ、初めからエンジンを全開させる。

 日本人の常識を超える挑戦に恐れはない。バルセロナ近郊での合宿を終え、会場で初練習を終えた萩野は「調子はいい。順調にきています」と8日で最大20レースの冒険を待ち望んだ。最初の種目の男子400メートル自由形については「日本記録は間違いなく出る。メダルに絡みたい」と堂々と宣言した。

 ビッグマウスではない。緻密な計算で勝機を見いだしている。日本記録は松田丈志の3分44秒99。今の状態なら破る確信がある。ロンドン五輪銀メダルの朴泰桓(韓国)は欠場、銅メダルのバンダーケイ(米国)は引退した。「レベルは低くなってる。チャンスはものにしたい」と続けた。

 男子自由形の中距離は苦戦が続く。最後の世界大会メダルは60年ローマ五輪の山中毅の銀。世界選手権のメダリストはいない。一方で中国、韓国とアジア勢が強い現実もある。「アジア人が活躍しているので」と53年ぶりのメダルで日本人の可能性を広げる決意だ。

 この日は国際水泳連盟(FINA)の公式ホームページの取材を受けるなど、世界的な注目度も高まる。10年前、バルセロナで世界新&2冠を達成した北島のように、世界を驚かす準備はできている。