<卓球:世界選手権>◇5日目◇2日◇男子シングルス4回戦◇横浜アリーナ

 「ダーっ!」。満員の観衆の前で、吉田海偉(27=フリー)がほえた。金延勲(韓国)のサーブが外れ、準々決勝進出が決まった。8強入りは、男子の宮崎監督が現役だった85年大会以来。「まだチャンスがある。監督を超えられるかな?」とイケメンをほころばせた。

 中国では無名も、青森山田高の吉田総監督に見いだされ、15歳で来日。高校総体3連覇をへて、04年に日本国籍を取得した。実業団連盟を脱退するグランプリ大阪との契約が終了し、今夏はフランスリーグに挑戦する。「海を越えて、偉大な人になってほしい」という名前の由来通り、世界で活躍する選手に成長した。

 河北省の両親には約300万円で家をプレゼントしたが、2年間も帰っていない。上位に勝ち残って、勇姿を国際映像で届けたい。次の相手は世界ランク1位の王皓(中国)。「この調子で、チャレンジャーとして臨みたい」。金星の先に、メダルが待っている。