今年限りで休部する社会人野球の強豪・日産自動車(神奈川)から、頼もしい左腕が、みちのくに帰ってくる。甲子園、東京ドームでの登板経験を持つ太田裕哉投手(21)が、来月1日付で日本製紙石巻(宮城)に入社することが11日、分かった。この日、手続きのため同社を訪れた太田は「(日本製紙)石巻は、都市対抗戦に出たことがないので、連れて行きたい」と抱負を語った。

 「聖地」を知るからこその、自信の言葉だった。岩手・一関学院3年時の06年センバツ1回戦(対岐阜城北)では、39度の高熱に悩まされ、3度の嘔吐(おうと)を繰り返しながらも完投。9回に2点を奪われサヨナラ負けしたが、4安打に抑えた。昨夏の都市対抗野球では社会人全国デビューを果たした。「独特の雰囲気を仲間に伝えていきたい」と太田。プレー以外でも、木村泰雄監督(48)は「全国の経験を生かして、移籍1年目から活躍してほしい」と期待を寄せた。

 太田は来月12日から練習に参加する。高校時代の2年後輩で、再びチームメートになる菅原義信内野手(19)とのメールのやりとりで、仲間の雰囲気を聞いた。「だから、いつでも投げられますよ」。全国請負人が、みちのく野球を盛り上げる。【湯浅知彦】