久しぶりに球場で吹き出して笑いました。24日DeNA戦で阪神が勝利した甲子園球場のヒーローインタビュー。いわゆる「お立ち台」に上がったのは阪神が誇る若き右腕・藤浪晋太郎投手でした。

 いつものように駆け上がるように台に上った彼は開口一番、叫びました。

 「ウルトラ気持ちいいっす!」

 たまたまスタンドの記者席に残り、観衆と同じ目線で見ていたので、一瞬、あっけにとられ、その後に笑ってしまったのです。

 なにしろ152球を投げ切っての完封勝利。それだけでも十分価値があるのに、こんなリップサービスまで飛び出して、ファンはもう大喜びでした。

 創設80周年の今季、阪神は「ウル虎の夏 2015」として、黄色いユニホームを着用しての試合を7月に6試合行います。24日はその最初の試合でした。言うまでもなく、「ウル虎」を意識しての叫びだったのです。

 翌日、ベンチで少し話しました。気になっていたのは「誰かに言われて言ったのか」という点でした。ズバリ聞くと藤浪の答えはこうでした。

 「もう、ここは何か言わんとあかんなと思って。自分で考えました」

 頼もしいコメントに喜んで、私は余計なことを言ってしまいます。

 「あのセリフ、いろんなところで使えるやないか。女の子とおるときとかな-?」

 すると藤浪はわざと冷たい視線にして返してきます。

 「いや、それは。引かれるやつでしょ」

 甲子園のヒーローにして、いまや阪神の若き主力投手。それにひき替え、こちらはフツーのおっさん記者なのですが、そこはお互い、大阪人同士。掛け合いは続いたのでありました。

 それにしても江夏氏、掛布氏、岡田氏、さらに川藤氏といろいろなスタイルの傑物を生んできた阪神ですが、最近はおとなしい選手ばかり。

 というよりも歴史的に見れば、そういう選手の方が多いわけです。それでも、ここはひとつ、藤浪にはグラウンドでも、それ以外でも注目される本当の意味での「ウルトラスター」に育ってほしい。そう願ってやみません。