宮城きっての伝統校が、初戦突破した。仙台二は15安打9点と打線が爆発し、仙台向山に快勝した。

 県内トップの頭脳を持つ仙台二打線が目覚めた。2回表に4番河村諭外野手(3年)の中前二塁打を皮切りに2点を先制。その後も5、6、7回と得点を重ね、15安打の猛攻で2年ぶりの夏1勝を挙げた。2安打2打点の3番佐藤大剛主将(3年)は「進学校で練習時間は短いですが、やるべきことをやってきた。それが強い気持ちにつながった」と自信たっぷりに振り返った。

 手の裏に残る硬いマメが強打の秘密だ。昨秋から今春までチームの通算打率はわずか2割1分3厘。5月8日に行われた仙台一との定期戦では3安打しか打てずに2-7で敗れた。それを機にチーム全員が、1日500本の素振りをノルマとした。秋春通算打率が2割ジャストだった4番河村は自宅で毎晩振り込み、手の裏の皮は何度もむけた。前夜も振り込んだだけあって、この日は3安打1打点。「ずっと主軸だったけど打てなかった。チームに貢献できてうれしい」。最後の夏に手応えをつかんだ。

 毎年有名国公立大に100人超が合格する進学校。もちろん野球部も秀才がそろう。数学好きの1番野村優太内野手(3年)は東大理1志望だが「夏が終わってからです」。国公立医学部志望の河村は「今は全然なんですが…」と苦笑い。勉強はひとまず忘れ、この夏はすべてを野球にかける。【高場泉穂】

 ◆仙台一と仙台二 ともに明治期に旧制中学として創立された宮城県屈指の進学校。野球部の歴史も古く、仙台一は創部119年目、仙台二は116年目の伝統を持つ。甲子園出場はともに夏3度。戦前から毎年春に開催されている一、二高定期戦は「杜(もり)の都の早慶戦」とも呼ばれ、戦後通算成績は仙台一が31勝、仙台二が30勝で9引き分け。