今秋ドラフト候補の149キロ右腕、つくば秀英(茨城)長井良太投手(3年)が好発進した。8日、古河二との初戦、先発で4回を1安打5奪三振。上々の立ち上がりで無失点にまとめ、8-0の7回コールド勝ちに貢献した。今春は先発を他に譲った地区予選初戦でまさかのコールド負け。先発へのこだわりを強くして最後の夏を踏み出した。

 まだ誰の足跡もついていないマウンドを、長井は確かめるように踏みしめた。初球はボールから入って3球で左邪飛。2番打者をあっさり3球三振に切ると、3番のバットにも空を切らせた。スライダーとカーブを交え「いい感じで入れた。チームがいい流れに乗れたかなと思います」。苦手だった立ち上がりで、心配無用の安定感を見せた。

 先発の座を誰にも譲りたくなかった。「あれは悔しかったです-」。春のトラウマがよぎった。古河一との地区予選初戦。エースはベンチスタートだった。想定外の防戦一方の展開。4回から慌てて救援に向かうも時すでに遅し。自身も自責点2で1-10、創部初の地区予選1回戦コールド負けを喫した。

 以降、森田健文監督(30)の言葉を胸に刻んできた。「夏はお前がチームに流れを持ってこなきゃいけない」。50メートルダッシュ、30メートルダッシュなど瞬発系のメニューで下半身を強化。直球がシュート回転するのを防ぐため、日本ハム大谷を参考に縦回転を意識した。開幕1週間前に「先発だ」と告げられ、気合が入った。

 この日最速の146キロも初回にマークした。交代の4回まで被安打は内野安打1本、外野に飛ばされたのは1球のみ。中日中田スカウト部長に「投手らしい投手。トップの位置が安定してる。3位くらいまでなら入るんじゃないか」と上位指名を感じさせるなど、9球団のスカウトにアピールした。

 初戦コールド負けの雪辱を、初戦コールド勝ちで果たした。中学時代は捕手で、投手歴は2年。のびしろは青天井だ。相手はどんどん強くなっていくが「このまま突っ走りたい。長井は打てないなっていうのを見せつけたいです」。力強い言葉に、柔和な笑みを浮かべた。【鎌田良美】

 ◆長井良太(ながい・りょうた)1999年(平11)1月15日、神戸市生まれ。長田南小時代は真陽少年野球部に所属。長田中では軟式で捕手。つくば秀英で投手転向。腕の振りが柔らかく、球速はコンバート以来20キロ以上アップ。1年秋からベンチ入りし、2年秋からエース。昨秋、石岡一との県大会1回戦で自己最速149キロを計測した。家族は母と兄。183センチ、81キロ。右投げ右打ち。