第100回の夏で、銀河系軍団が最後まで輝き続けた。大阪桐蔭(北大阪)が決勝で金足農(秋田)を13-2で下し、4年ぶり5度目の優勝を果たした。

   ◇   ◇   ◇

 甲子園は、この外野手を忘れない。大阪桐蔭・藤原恭大外野手(3年)が3安打2打点で決戦を締めくくった。今大会26打数12安打の4割6分2厘、3本塁打、11打点。打って走って、大阪桐蔭の中堅を守り抜いた。「一番いい形で高校野球を終えることができました。人生の中でも、最高の瞬間でした」と、マウンドで待つ仲間の輪に飛び込んだ。

 足で魅了した。2年前の春。入学する前から藤原の俊足を耳にしていた西谷監督らを、入学後「うわさ以上に速い」と驚かせた。50メートル5秒7の黄金の足は3回1死一塁、中前への安打を二塁打にした。二塁打2本を含む3安打で、金足農・吉田を攻略。それでも「すごい投手でした。万全の状態だったら、打てなかったかもしれません」と準決勝まで5試合を1人で投げ抜いてきた相手をたたえた。

 「自分はうまい人とやったら強くなれる」が藤原の信条。枚方ボーイズ時代に、今の主将の中川と出会った。「足も肩も打撃もずばぬけていた。ライバルなんて、言えなかった」。高校では抜こうと、同じ進路を選んだ。選んだ先には根尾がいた。「日本で一番注目されていた新入生」(藤原)はうわさ通りの選手で、努力家だった。新たな目標を得たことも、励みになった。

 1年秋には左肩の関節唇を痛め、2年秋からは右膝痛と闘った。故障を克服し、世代NO・1の外野手になった。先輩の森友哉(西武)と並ぶ左打者最多の5本塁打を甲子園に残した。高校球界のスピードスターは「上の世界に挑戦したい。高いレベルでやっていきたい。まだまだですけど、最終的にはトリプルスリーを目標にしたい」と言った。大阪桐蔭の2年半が、藤原の夢を育てた。【堀まどか】

 ◆1イニング2安打 大阪桐蔭・藤原が5回に1イニング2安打。夏決勝では50年松山東の水口峰吉、大川彰以来、68年ぶり3人目。