レッドソックス松坂らを育てた高校野球界の名伯楽、横浜(神奈川)小倉清一郎部長(65)が3月末で部長職を退任することが15日、分かった。60歳から定年を5年間延長したが、学校側とも話し合いを行った上で、小倉部長は「もうこれ以上の延長はない」と話した。渡辺元智監督(65)は続投し、新部長には平田徹コーチ(27)が就任する。

 小倉部長は今後について「選択肢は3つ。ここでコーチをするか、他校の指導者になるか、野球界を辞めるかです」と説明した。他校の指導者就任には否定的で、同校でコーチを務める方向。3月25日をメドに学校側と話し合い、最終結論を出す方針だ。

 コーチになれば、公式戦でベンチ入りすることができない。これまで渡辺監督と二人三脚で98年甲子園春夏連覇などの偉業を達成してきた。通常部長は庶務的な仕事が多いが、小倉部長はベンチの参謀役として作戦面などを担当。長く高校野球界をけん引した名コンビが「解散」となる。渡辺監督は「彼がベンチからいなくなるマイナスは計りしれない。私がやってきた四十数年の中で、半分ぐらい一緒だったわけですから」と寂しい胸中を明かした。

 小倉部長は甲子園では94年からベンチ入りし、レ軍松坂、西武涌井、ロッテ成瀬ら数々のプロ野球選手を育ててきた。「小倉ノート」と呼ばれる、対戦校の綿密な情報分析は有名だった。コーチに就任すれば、練習ではこれまで通り指導ができる。渡辺監督は「顔ぶれが変わるわけじゃない。これからも力を借りることになる」と話した。