来年はライバルかも? 中日エクトル・ルナ内野手(35)が9日、中部国際空港発の航空機でドミニカ共和国に帰国した。チーム方針から今季限りで退団が濃厚になっているが、ルナは中日を第1希望に日本球界でのプレー続行を強く希望。3年間、主軸として活躍してきたリーグ屈指の好打者が竜にキバをむく可能性も出てきた。

 出発直前、中部国際空港で見せたルナの表情は少し複雑な様子だった。

 「最後に3割を切ってしまい8本塁打しか打てなかったけど、盗塁、二塁打、試合数などは昨年より増えた。自分としてはそんなに悪いシーズンではなかった。来年のことはまだ分からない。なるようにしかならない。自分では決められないことだからね」

 1年目からリーグ屈指のヒットメーカーとして高打率をマーク。3年目の今年も、開幕から4番を打つなど打線の軸に座った。だが年齢による守備範囲の狭さや、長打力不足は明らか。昨年、3割1分7厘、17本塁打で三塁のベストナインに輝いた活躍からしたら物足りなかった。

 契約は今季で終了。契約延長するかは球団側に選択権があるが、若返りを進める中日はオプションを行使しない方向だ。ルナ自身は「まだ何も言われていない」と話すが、退団の可能性があることを認めた。

 「チャンスをもらえるところでやるだけだよ。できれば大好きな中日でと思っているけど、(ダメなら)日本のどこかのチームでやりたいと思っている」。中日を第1希望としながら、NPB残留を熱望していることを明かした。

 12球団ワーストの71本塁打と長打力不足に泣いた中日は、長距離砲タイプの助っ人の調査を進めている。だが総合力でルナ以上の人材が簡単に見つかるとは限らない。また“流出”なら、複数球団が獲得に乗り出す可能性があり、ライバルとして竜の前に立ちはだかることも考えられる。

 ルナは帰国後、2週間ほど休んでトレーニングを再開予定。例年のように当地のウインター・リーグ参加を検討しているほか、プレミア12のドミニカ共和国代表にもリストアップされている。オフに動向が注目される選手の1人なのは間違いない。【柏原誠】