来季こそ打つぞ! ロッテ岡田幸文外野手(31)が、プロ1号ホームランに向けて動きだした。今日4日、契約するスポーツメーカーのゼット大阪本社で来季の使用用具について話し合うが、飛距離アップも視野にバットの重量を上げる。岡田はプロ入りから2087打席本塁打がないというプロ野球記録を持つ。来季こそ1発を放ち、ダイヤモンドをゆっくりと回る。

 6年にわたって続く本塁打なしの記録。岡田はそこからの脱却を図る。「記録とかはもういいんです。ホームランを打ちたい。じゃないと4割ぐらい打たない限り、給料も上がらないんでね」。言葉は冗談まじりだが、気持ちは本気だ。チームに有効な戦力となるべく自己改革に乗り出した。

 まずはバットを変える。今季使用したバットは890グラムのもの。比較的軽く、こねてしまうミスが多く出た。その反省点もふまえて、来季については重さを930グラム前後に増量。バランスは変えずに、芯の部分が広くなるよう規定いっぱいの太さで発注する予定だ。

 過去にも11年と12年に950グラムのバットを使った経験があり、11年には自己最多11本の長打を放っている。930グラムは岡田にとって無理のない重さ。これを上からたたきつけるイメージを持っている。「福本豊さんや高橋慶彦さんは、重いバットを上から落とすだけのような感覚に見えた。それで、ホームランにもなっていましたから」。理想型を偉大な先輩たちの打撃に求めた。

 すでに1キロ近い重さのマスコットバットを注文してあり、もうすぐ完成する。今季使っていたマスコットバットが930グラムだから、かなり重く感じるバットだ。来季に向けて、このバットを振りこむことで、シーズンで使用する新バットを振りこなせる体をつくっていく。

 岡田はユニホームを着ていると線が細く見えるが、プロテインを飲み、鍛えた体は筋肉質で、決して非力なわけではない。本塁打がないのは、俊足を生かすために、いつも投手の足元に強い打球を打つことを心がけていたからだ。そのスタンスは変えられない。ただ来季は、強くたたいた打球に角度がつけば、バットの重さの分、フェンスを越えてくれるかもしれない。【竹内智信】

 ◆連続本塁打なし 岡田の2087打席連続本塁打なしは、プロ入り初打席からの最長記録。昨年7月31日に、過去最長だった36~47年横沢七郎(東急)の1770打席を更新した。岡田はイースタン・リーグでも通算241打席で本塁打がない。デビューからの条件を除くと、最多は赤星憲広(阪神)が05~09年にマークした2528打席。なお、現役で岡田に次いでデビューから本塁打が出ていないのは松本哲也(巨人)の1372打席。

 ◆名選手のバット 福本豊(阪急)の使っていたバットは1170グラム、長さ85・1センチで直径6・8センチで、グリップ部分も太くこん棒のような形だった。このバットで208本の本塁打を放っている。高橋慶彦(広島)のバットは925グラム、長さ86・3センチで直径は6・2センチ。本塁打は163本だった。岡田は現在の太さ規定6・6センチギリギリのバットを発注予定。長めにつくり、短く持ちたい考えのようだ。ちなみに王貞治(巨人)は930グラム、長さ87・5センチ、太さ6・3センチ。イチロー(マーリンズ)は910グラム、85センチ、6・4センチ。