逆転勝ちで首位を守ったロッテ伊東勤監督(53)の口は滑らかだった。「今日から変えます。“1発打線”と。良いところで、みんな打ってくれた。今日の勝ちは大きい」と口角を上げた。安打数はソフトバンクの11に対し、わずか4。だが、得点は全て本塁打だった。3回、中村が一時同点2ラン。7回、井上が同点ソロ。そして9回、デスパイネの決勝ソロ。効果的な3本は全て今季1号だ。

 指揮官にたまった鬱憤(うっぷん)も晴れた。前日は延長12回引き分け。4点ビハインドを追い付き、救援陣が好リレー。内容は文句ないが、19三振も献上した。しかも、5つが見逃し。伊東監督は「バットを持っている意味がないじゃないか。ベンチとホームを行ったり来たり。ベースは踏むためにあるんだよ」と語気を強めていた。

 この日も11三振を数えたが、見逃しは2つだけ。振りにいく中で、打撃コーチからは「追い込まれたら粘れ」と指示が出ていた。典型的だったのが、3回1死からの田村。千賀に2球で追い込まれたが、ファウル6球を挟み計12球の末に四球を選んだ。本人は「たまたま当たっただけ。ファウルは狙っていません」と控えめだったが、次の中村は初球143キロを振った。投手が根負けした直後の失投を捉え、左翼席へ運んだ。

 前日に続き、救援陣が4回から奮闘。開幕から4カード連続負け越しなしを決めた。伊東監督は「簡単に引き下がらない粘りが出てきた。より明日が大事。涌井に頑張ってもらいましょう」と軽快に締めた。中5日でエースを投入し、首位を走る。【古川真弥】