「金本チルドレン」が甲子園開幕で躍動した。今季初めてスタメン起用された阪神江越大賀外野手(23)が初回の第1打席に左翼席へ3号ソロ。3試合にまたがる「3打席連続本塁打」の記録的アーチをかっ飛ばした。捕手以外の野手では初めて金本監督がオーダー変更した一戦で1発回答だ。

 まだ日の落ちきらない甲子園に白球が舞った。今季初めてスタメンに抜てきされた江越が、今季の甲子園1号をぶっ放した。1回1死。広島横山のフォークに食らいつきフルスイング。左翼席に突き刺した。

 「少し崩されたのですが、うまく失投をとらえられました。今日は今シーズン初めてスタメンで使ってもらったので、いつも以上に集中力を高めて打席に立ちました」

 3試合にまたがる「3打席連続本塁打」だ。途中出場した3日DeNA戦、7日巨人戦に続く3打席連発。3試合をまたいでの3打席連続は、球史に残る記録的なアーチだ。しかも、これでプロ1年目から江越が本塁打を放った試合は8戦全勝。劇的な幕切れで「江越神話」も継続だ。

 「やっと来たなというのはありました」

 期待されながらもオープン戦では極度の打撃不振で2軍落ち。開幕前に1軍へ合流したが、ここまで22歳高山、20歳横田の活躍を悶々(もんもん)としながら見つめた。前日の巨人戦で今季2号を放ち指揮官も「いい時に使ってやりたい」と決断。練習前にスタメン出場を伝えられスイッチが入った。

 柔和な表情を浮かべる江越だがプロとしての闘争本能は隠さない。昨秋、ドラ1高山の加入が決まると江越はこう言った。「教えません! 僕よりセンスあると思うんで」。同じポジションを争う競争相手。絶対に負けたくない。

 この日の試合後。ロッカーに向かう通路で金本監督から呼び止められた。「(タイミングが)全部合ってるわけじゃないぞ」。2打席目以降は凡退が続いた。「貪欲に。2本目、3本目が出るように練習したい」(江越)。目標はあくまでもレギュラー。背番号25の潜在能力を考えれば、まだまだ物足りない。【桝井聡】

 ▼江越が、3日DeNA戦から3試合にわたり3打席連続本塁打。阪神の打者としては、ブラゼルが10年6月29日中日戦(甲子園)第1打席から3打席連続で放って以来、6年ぶり。日本人では、金本知憲が09年4月10日巨人戦(東京ドーム)第2打席から3打席続けて以来。なお金本はこの前々日の8日広島戦(甲子園)にも、第1打席から3打席連続本塁打を記録している。

 ▼3試合にまたがっての3打席連続本塁打は、過去に吉村禎章(巨人)が83年6月29日阪神戦~7月1日広島戦に記録した例がある。高木守道(中日)は、77年6月12日阪神戦~14日大洋戦で、3試合にわたり4打席連続本塁打を放っている。