首位タイじゃ~! 広島が勝ち、同率ながら14年6月7日以来の首位に浮上した。立役者は先発の野村祐輔投手(26)だった。1回無死満塁のピンチを1失点でしのぐと、2回以降は流れに乗った。今季から取り入れるプレートの一塁側を踏む投球が効果的で7回5安打1失点。2勝目を挙げた。打線もつながり51年から通算19勝49敗2分けと散々だった呉市二河野球場で快勝。この勢い、3連勝では止まらない!
絶望的な状況で、野村は開き直った。1回の先頭打者に四球を与え、3連打を浴びて1失点。無死満塁が続いていた。「気持ちをリセットして、またプレーボールの気持ちで投げました」。5番ナニータを空振り三振。広島キラーの6番藤井を三ゴロ併殺に打ち取った。変化球でカウントを稼ぎ、最後は135キロの内角直球でバットを折った。
ほんの30センチの変化が、野村を解放した。フルカウントを連発し、立ち上がりに苦しんでいたオープン戦。すると3月8日のオリックス戦から突然、プレートの立ち位置を三塁側から一塁側へと変えた。プロ入り後初の変更にも「怖さはなかった」。立ち上がり2回を6人で仕留めた。以前に同じ変更をした黒田にも理由を聞いていた。最終的には投げて感じて、決断した。
「角度がついたことで、右打者の内角への窮屈さがなくなった」。わずかな変化で視野が広がり、何より精神的に余裕が生まれた。シュートはもう1段階厳しいコースに制球され、懸念されるスライダーの曲がりも「長年投げている。自信はあった」と変わりなかった。スムーズな体重移動の習得とともに、野村の武器になっていった。深めた自信はこの日の「リセット」にも一役買ったはずだ。
コーナーに丁寧に投げ抜き7回5安打1失点。2回以降得点圏に走者を背負ったのは1度だけだった。3度目の先発で「やっと7回まで投げられた。先発の仕事が出来たかな。こういう投球を続けたい」。本領発揮。チームが通算19勝49敗2分けと苦手としている呉で、2勝目を挙げた。
野村の粘投に応えるように打線も効果的に得点。これで今季初の3連勝で緒方監督就任後最多の貯金3とした。巨人、阪神と並んでタイながら14年6月7日以来の首位に浮上。「順位は関係ないよ。祐輔がよく粘ってくれた」と緒方監督は何度もうなずいた。偶然ではない。わずかで確かな変化が、緒方カープを前進させている。【池本泰尚】



