エースで勝って、ロッテが頭1つ抜け出した。涌井秀章投手(29)が楽天打線を6回7安打2失点に抑え、開幕から負けなしの4戦4勝。勝利数で12球団単独トップに立った。再三、得点圏に走者を背負うも、大量失点を許さなかった。チームは今季初の同一カード3連勝で、連勝を今季最多の4に伸ばした。貯金も今季最多6。首位快走で、2位以下に2・5ゲーム差を付けた。

 味方のミスにも、涌井は動じなかった。5-2の6回1死、楽天後藤を遊ゴロに仕留めたはずが、鈴木がはじいた。そこから2死一、二塁と1発同点のピンチを招くも、島内を右飛で切り抜けた。4勝目を手に「土のグラウンド。エラーはあるものと想定してました。0で乗り切って大地(鈴木)も救われた。そういうのを続けていけば打ってくれる。お互いカバーすれば、勝ちにつながる」と心憎い言葉で振り返った。

 序盤から不安定だった。初回は4球で終わったが、「早打ちなだけ。帳尻合わせのように、2回は40球ぐらいかかった」と認めた。その2回は1点先制され、なお2死満塁。ただ、福田を141キロで一飛に仕留めた。全体的に高く、得点圏に走者を背負う。それでも大崩れしなかったのは、洞察力のおかげだった。3回を終え、足をしっかり上げず「楽して投げている」と気がついた。4回、下半身を意識したら3者凡退。リズムができた。直後の5回表、味方が2点を奪ってくれた。

 洞察力は、周りにも発揮される。12日の楽天戦で二木が完投でプロ初勝利。4回途中でソフトバンクにKOされた前回登板の反省を生かした。投げ急ぎを修正したが、実は涌井の指摘があった。落合投手コーチに断った上で、3年目の後輩に声をかけた。的確に技術的な助言を行っただけでなく「落ち込むなよ」とも伝えた。二木を「僕のことを気にかけてくれた」と感激させた。涌井本人は「(助言は)あまり。言われすぎると気にしちゃうでしょ」と素っ気なかったが、さりげなくアシストしていた。

 前回7日のソフトバンク戦は7回途中6失点も、援護で3勝目。この日も本調子ではなかったが、勝ちがついた。「次はもう少し長い回を投げたい。チームが苦しい時、自分がカバーできれば」と誓った。苦しむ後輩や、失策した野手を助けるから、涌井には白星が返ってくる。【古川真弥】

 ▼開幕投手の涌井が早くも4勝目。西武時代の07年にシーズン初登板から4戦4勝している涌井だが、開幕投手を務めて「開幕戦から4戦4勝」は初めて。ロッテの開幕投手が4戦4勝は81年に7戦7勝の村田、93年に6戦6勝の小宮山に次いで3人目だ。この日でロッテは17試合目。チーム17試合以下で4勝は03年清水直(ロッテ=16試合目に4勝)以来で、00年以降は両リーグで清水直と涌井の2人だけ。パ・リーグタイ記録となる4度目の最多勝を目指し、涌井がハイペースで白星を挙げている。