日本ハムが粘って、しのいで、8連勝中だった首位ソフトバンクに延長の末、逆転勝ちした。昨季2勝7敗1分けと苦杯をなめた、ヤフオクドームでの今季初戦。2-2の延長10回1死一、三塁から中島卓也内野手(25)が決勝スクイズを決めるなど、栗山英樹監督(54)の采配がズバリはまった。鬼門だった敵地で接戦をものにし、借金は1となった。

 言葉はなくても、意思は通じていた。同点の10回1死一、三塁の好機。中島がセーフティースクイズで激戦にけりをつけた。「監督はたぶん(サインを)出してくると思った」。栗山監督は「タク(中島)がいいところに決めてくれた」。小技と足で、強力ソフトバンクに競り勝った。

 1ストライクからの2球目も同じサインだった。外角への143キロ直球はボールとなり、中島はバントの構えを引いた。相手の警戒が強まる続く3球目。再び外角への直球を、一塁線にきっちりと転がした。「一塁側の方が(三塁走者が)スタートを切りやすいから」。俊足の三塁走者・谷口は悠々セーフ。セーフティースクイズは栗山監督が多用する、チームを象徴する作戦のひとつ。今季はコリジョン(衝突)ルールの適用も追い風になる。あえてサインを続けて勝負した指揮官は「足を使える走者がいるというのが大きい」と、自信をのぞかせた。

 この日ヤフオクドームに足を踏み入れた同監督は、「ぎゅーっと」胸を締め付けられていた。「こういうのトラウマって言うんだよね」。昨季は同球場で2勝7敗1分けと大きく負け越した。6月と8月頭の3連戦はどちらも3連敗。首位独走を許す大きな要因になった。

 1回に2点を先行され、4回までヒットすら打てない展開。重苦しい空気は流れたが、6回の田中賢は10球、近藤は8球、10回の西川は9球、各打者が打席で見せる粘りが、ムードを変えた。「あのまま(0-2で)いっていたら去年と一緒。何とかしようと、みんな同じ気持ちでやっていた。率直に、うれしい」。力を結集した逆転勝利に、栗山監督も素直に喜びを表した。

 “鬼門”での今季初戦をモノにし、勝率5割復帰が目前に迫った。「これでホークスと落ち着いて戦える。この流れで、明日(大谷)翔平に勝ちをつけたい」。今日24日にマウンドに上がる大谷で連勝できれば、一気に上位へ突き抜ける期待感が、高まってくる。【本間翼】