追い込まれた広島鈴木誠也外野手(21)の対策が功を奏した。バットをわずかに短く握り、ノーステップでタイミングを合わせた。マウンドにはチェンジアップが武器の中日若松。「このままじゃだめだ、何とかしようと思ったら、勝手にああなった」。2点を追う4回1死満塁。外角の厳しいチェンジアップにバットを投げ出すと、打球はセンターへ抜けていった。しぶとい同点適時打だった。

 親分はベンチにいた。26日に通算2000安打を達成した新井は移動の疲労を考慮され休養日。鈴木は前カードの神宮3連戦で何度も声を掛けられた。26日のお立ち台では「鈴木誠也に2本打てと言ったら本当に打ってくれた」と喜んでくれた。新井のベンチスタートにざわつくスタンドを21歳が黙らせた。

 神宮3連戦で放った3発に「今までにない感覚だった」。力を抜き、コンパクトなスイングでも「あそこまで飛んでくれた」。つかんだ感覚が、意識を変えた。追い込まれたら「ゴロを打つイメージ」。足を上げずバットを短く持つ工夫も、必然的に生まれた。5回には一転。初球を右中間へ2点適時二塁打。バットで魅せた。

 これで貯金3とし、4月勝ち越しを決めた。重要視するカード初戦を逆転で勝った緒方監督も「新井さんが休んでも打って勝つ。明日も休んでもらおうか」と笑わせた。上位進出へ“新井特需”はまだまだ続きそうだ。【池本泰尚】