ベテランと若手が融合し、ロッテが連敗を3で止めた。7-8の9回に打者14人で8点を奪い逆転勝ち。打線が計4度のビハインドを追い付き、最後に突き放した。9回の決勝打は、井口資仁内野手(41)。球界野手最年長が代打の一振りで2点を勝ち越すと、2年目の中村奨吾内野手(23)が3号3ランで続き、楽天の守護神松井裕をKOした。

 とっておきの切り札の登場だ。9回、ロッテは清田の適時内野安打で追い付き、吉田が四球を選ぶ。塁が埋まり「代打井口」がコールされた。四球直後の初球、高く浮いた147キロだった。楽天松井裕の投手心理を見透かしたようなスイングで、左前へライナーで運んだ。2点を勝ち越し、塁上で大きくガッツポーズした。「ストライク3球、チャンスがある。代打の時はとにかく見るよりも、どんどん行くこと」と、王道の心構えを説いた。

 隙のない準備があった。4回からベンチ裏で素振りを開始。出番に備えた。実は、三度目の正直だった。まずは6回1死一、二塁でネクストに立ったが、前打者の三振と三盗失敗の併殺で出番は回らず。9回も清田の打席でネクストに立ったが、同点に追い付き、いったん下がった。ただ、満塁となり、「気持ち的に一番良い場面」ですぐに再登場。出たり入ったりも「いつ呼ばれてもいいように。今日の仕事は、そこしかない」と頼もしかった。

 そんな大ベテランの姿は、2年目の中村にとって「準備の仕方。ベンチでも声を出される。去年から見てました。今日は一発で決めた。集中力がすごい」と学ぶところが多い。7回に頭部死球を受けた中村も集中力を切らさなかった。井口に負けじと、9回には3ランを放ち計4安打3打点。痛みに負けないガッツに、井口は「気持ちで何があっても出て欲しいし、出ないといけない選手」と目を細めた。世代を超えた戦力が1つになり、打ち合いを制した。【古川真弥】