5月の覚醒よ、再び! 阪神藤浪晋太郎投手(22)が今日10日、巨人戦(甲子園)に先発する。ここ3試合は白星から遠ざかり自身2連敗中だが、感覚的には「いいモノが出てきている」。昨季は5月中旬から一気に状態が良化し、32イニング連続無失点も記録。宿敵相手に鬱憤(うっぷん)を晴らす快投を披露し、チームの連敗を2で止める!

 光が差し込みつつあるのだろう。表情は暗くない。かすかに雨音が聞こえてくる甲子園室内練習場。クラブハウスに続く階段を上り終えると、藤浪はキリリと顔面を引き締めた。

 藤浪 感覚はいいモノが出てきている。それをなんとか毎回、毎球出していけるようにしたい。

 前回3日中日戦は7回4失点で自身2連敗を喫した。ここ3試合すべてで4失点し、白星から遠ざかっている。「バランス、リリースの感覚を合わせられるように。しっくりきている部分ときていない部分と、ある」。この6日間はキャッチボール、ブルペン投球でズレの解消に努めてきた。

 金村投手コーチ この1週間、真っすぐ立つようにしている。かがみ気味だったんでね。(今は)キャッチボールをしていても威圧感を感じる。それが出せれば(試合は)壊れない。

 左足を上げた時にスッと立ち、上からたたくイメージ。首脳陣も復調に太鼓判を押す。今日10日は甲子園で巨人戦。4月26日には同じ舞台で7回4失点の黒星を喫しており、返り討ちに遭うわけにはいかない。

 今季、阪神投手陣は長野に打率5割を許し、坂本にも打率3割9分1厘、3本塁打、9打点と苦しめられている。「もちろん(2人を)抑えられたらいいけど、いい場面で打たれなければいい。坂本さんと長野さんに3、4本打たれても、チームとして勝てればいい」。あくまでチームの勝利のみにこだわっていく。

 5月も中旬に入る。前例にならえば藤浪の季節だ。昨季は5月半ばまで7試合登板で1勝4敗。5月14日ヤクルト戦で「キャッチャーの後ろまで突き抜ける」感覚をつかみ取り、1失点完投勝利したこの一戦から一気に状態を上げた。5月20日巨人戦で完封勝利を飾り、同27日楽天戦は10回無失点。6月3日ロッテ戦の7回に失点するまで、32イニング連続無失点と手がつけられなかった。今季も5月の覚醒に期待がかかる。

 藤浪 1つのコツみたいなところはある。それを早く見つけて、再現性を高めていきたい。

 虎は2連敗中。藤浪は昨季からチーム連敗中の10試合に先発し、3完封を含む6勝1敗を誇る。今季4戦目での甲子園巨人戦初星へ、連敗ストッパーに重責が託される。【佐井陽介】

 ▼15年の藤浪は5月14日ヤクルト戦(神宮)で、8試合目にして同年初の完投勝ちを果たし“開眼”した。“開眼”前は1勝4敗に苦しんでいたが、5月14日以降は21試合で13勝3敗と白星を量産した。特に、次戦の5月20日巨人戦(甲子園)は圧倒的な投球。許した安打は4回2死から亀井、坂本の単打だけ。毎回の10三振を奪ってプロ初完封を飾った。その5月20日から3試合連続で2桁奪三振とKラッシュもスタート。“開眼”前の7試合は2桁奪三振1度だけだったが、変身後は21試合で8度に跳ね上がった。