オリックスが総力戦で劇的勝利をつかみ取り、連敗を4でストップさせた。今季4度目の延長戦は、10回に中村一生外野手(34)が人生初のサヨナラ打。負ければ借金が今季ワースト8に膨らむ危機を救い、ソフトバンク戦は今季5戦目で初勝利となった。

 打球が外野の芝生で弾んだ瞬間に、勝利は確実だった。だが、慣れていなかった中村は照れ笑いだ。「サヨナラなのに全力で二塁まで走っちゃいました。人生初のサヨナラ打。興奮しました。これだけの大人数の前で野球ができるのは幸せ。僕は常に崖っぷちと思っている。必死にやるだけだった」。10日に今季初めて1軍昇格したばかり。初安打となる右中間二塁打が大仕事になった。

 7回に代走で途中出場。8回の初打席は勝ち越し機で森の直球に合わず、3球三振に倒れた。次に回ってきた10回は2死一、二塁。マウンドにはさらに球が速いスアレスがいた。実は1度だけファームで対戦。空振り三振に倒れていた。

 「めっちゃ速かった。でも今日はもっと速かった。1、2の3ではなく1、2で打った」。2軍での打率は1割3分。周囲に「130円ですね」と缶ジュースのような数字を冷やかされた。ただ昇格直前、2軍戦の前後にロングティーを約1週間続けていた。「早めに始動するため。球の見え方がよくなった時に(1軍に)上げてもらった」と速球への備えはあった。

 伏兵の一振りに、福良監督も目を細めた。「いいところで打ってくれた。もう外野手は一生しか残ってなかったからね」。中村には打席前に「コンパクトに。当てたら何とかなる」とアドバイスを送っていた。期待通りに直球を打ち、前進守備の外野を抜けた。

 先発金子は8回に追いつかれたが試合を作り、リリーフした平野と塚原がともに1回無失点。難病を抱える安達は好守で盛り上げた。ここまで4試合で計6得点37失点と歯が立たなかったソフトバンクに全員の力で競り勝った。高橋打撃コーチも「この勝ちは大きい」としみじみ話した。これを浮上のきっかけにしたい。【大池和幸】

 ◆中村一生(なかむら・いっせい)1982年(昭57)4月2日、東京都生まれ。東海大浦安(千葉)では00年夏の甲子園で準優勝。国際武道大を経て04年ドラフト7巡目で中日入団。11年オフ、戦力外になりオリックス入り。186センチ、85キロ。右投げ右打ち。