163キロ、参りました。巨人は日本ハム大谷に6安打2得点で、完投負けを喫した。大田泰示外野手(25)の先頭打者アーチで先制したが、2回以降は剛速球と変化球のコンビネーションに手を焼いた。打者としても、被安打1で1打点を献上。リアル二刀流の大谷に連勝を6で止められ、2位に転落した。

 大谷の163キロを肌で感じたクルーズは試合後、日本語で「ハヤイ!」と切り出した。巨人打線はバットを短く持つ、打席内で捕手側に立つなど各自が工夫して攻略を図った。結果は、初回の大田の先制弾と9回の相手ミスによる2得点のみ。4回1死満塁と一打同点の絶好機も作れただけに、高橋監督は「手も足も出なかったという感じではなかった。もう1歩というところだったと思う」と悔しさをにじませた。

 剛速球にまぶしてきた緩急に、進化を実感させられた。昨季まで2年間ロッテに在籍したクルーズは、過去の大谷との対戦を回想した。「2年前は速い球を投げるピッチャー。去年は、いいピッチャーになった。今はさらに変化球を織り交ぜてくるので、難しいピッチャーだね」。163キロの直後に122キロのカーブをストライクゾーンに決めてきた能力の高さに脱帽した。

 対戦が少ない他の選手も変化球の精度の高さに、うなった。坂本は9回に直球を二塁打に仕留めながらも「真っすぐは(3月の)オープン戦の時も速かった。変化球もいいですね」。内田打撃コーチも「今までと違って緩急を使っていた。パワーピッチャーなのにカーブ、フォークでカウントを作っていた。いい当たりもあったが、球威に差し込まれた」と効果的に決められた遅球の威力を認めた。

 打者大谷には1安打1打点を許すなど、投打の「2本の刀」の切れ味にやられた。長野は「投手としても打者としてもすごいですね。真っすぐも速いですしスイングスピードも速い。すごいです」と素直に敬意を表した。この日は大谷の引き立て役になってしまったが、悲観するほどではない。村田は「結果は出ていないので何とも言えないですが、あれ以上速い球を投げる投手はいないので」と切り替えた。【浜本卓也】

 ◆人類最速は? ヤンキースの守護神アロルディス・チャプマン(28)がレッズ時代の11年4月18日パイレーツ戦で、本拠地の球場表示による106マイル(約170・6キロ)が最速とされる。軍用レーダーを転用した高性能スピードガンでは、同投手が10年9月24日パドレス戦で105・1マイル(約169・1キロ)を計測。チャプマン以前では、マーリンズの先発右腕バーネットが05年5月に104マイル(約167・3キロ)、それ以前はDバックスの左腕ランディ・ジョンソンらの102マイル(約164・1キロ)が最速とされた。

 ◆今季メジャーでは 163キロをマイルに換算すると約101・3マイル。大リーグで今季これを上回る球速を記録した投手は3人いる。トップはヤンキースの守護神チャプマンの103・2マイル(約166・1キロ)。ヤンキースの救援右腕ベタンセスと、メッツの先発右腕シンダーガードが101・4マイルをマークしている。