日本球界最速となる163キロを投げた日本ハム大谷翔平投手(21)が、次回登板予定の12日阪神戦(札幌ドーム)で、DHを解除し“リアル二刀流”で起用される方針であることが6日、分かった。交流戦でDHを放棄するのは、史上初めて。大谷は打者で15試合連続安打中で、打席にも立った最近2度の登板では、勝利と安打を両立。栗山英樹監督(55)は体調に問題がなければ、札幌ドームでの“リアル二刀流”に踏み切ることになりそうだ。

 札幌ドームでも、投げて打つ! 大谷の次回登板予定の12日阪神戦は、再びDHを解除し、中軸として“リアル二刀流”で出場することになりそうだ。05年から始まった交流戦で、投手がDHを放棄して打席に立つのは史上初めて。「7回1失点&3安打」の5月29日楽天戦、「163キロ&1安打1打点」の5日巨人戦と、ここ2試合は投打ともに結果を出している。交流戦最終登板予定の19日中日戦(ナゴヤドーム)もセ・リーグ主催試合のため、栗山監督は大谷の体調に問題がなければ、4登板連続の“リアル二刀流”に踏み切るとみられる。

 高い攻撃力を維持できることは間違いない。打率3割5分9厘、9本塁打、打席に立った試合は4月27日楽天戦から15試合で安打が続いている。今季は4番中田の前後を打つポイントゲッターとなっており、DHを他の打者に譲って投手に専念するよりは、相手バッテリーへ与える恐怖感も格段に違う。

 本拠地であるがゆえのメリットもある。今季2度の“リアル二刀流”はどちらも先攻のビジター試合で、マウンドよりも先に打席がまわってくる可能性があった。栗山監督も「いろいろ考えた。どうなったとしてもプラスもマイナスもある」。検討を重ねながら、楽天戦は「6番投手」、巨人戦は「5番投手」で起用したが、後攻の本拠地試合なら、まずマウンドに上がることが決まっており、普段のリーグ戦と同じ準備が可能になる。

 163キロの日本最速記録更新から一夜明け、大谷は東京から旭川へ移動した。今日7日広島戦(旭川)は打者で出場する見込み。投打が違うとはいえ、旭川では昨年完封勝利も飾っており「いいイメージはあります。基本的に(球場が)小さいので、そんなに強振しなくてもいい感覚はある」と意気込む。交流戦史上初の挑戦へ弾みをつけるために、“一刀流”でも気は抜かない。

 ◆指名打者解除 今年5月29日楽天戦(コボスタ)で、日本ハムはDHを使わず、初めて大谷を「6番投手」で起用。パ・リーグがDH制を採用した75年以降、投手が打順に入ったのは98年10月10日西武西口以来、5度目。過去4度はすべて西武で日本シリーズ対策として投手を9番で起用。投手の打撃を期待したDH起用は大谷が史上初めてだった。大谷が投打両方をこなすのは過去8試合(先発右翼→救援登板1試合も含む)。