<中日0-1巨人>◇17日◇ナゴヤドーム
巨人原辰徳監督(49)が積極采配で、同一カード3連敗を阻止した。17日、中日6回戦(ナゴヤドーム)で先発セス・グライシンガー投手(32)が8回1死二塁のピンチを迎えると、迷わずマーク・クルーン投手(35)へスイッチ。18日、祖母の葬儀のため帰国する守護神は、指揮官の期待にこたえ後続をピシャリ。4回、高橋由伸外野手(33)のリーグ単独トップとなる8号ソロで先制した1点を、助っ人2人の完封リレーで守りきった。
追い上げムードのナゴヤドームを、クルーンが一変させた。グライシンガーの球が高めに浮き出した8回裏1死二塁。一打同点の場面で、原監督が決断した。マウンド向かったのは新守護神だった。
「準備はできていた」と言うが、待ち受けていたのはしびれる場面だ。3番李炳圭を142キロフォークで見逃し三振。4番ウッズには158キロ直球、138キロフォーク、155キロ直球でカウント2-1と追い込み、最後は143キロのフォーク。「直球には自信があった。ウッズには、フォークはめったに投げないんだが」。大きな軌道につられ、打席で巨漢の体が一度浮く。見逃し三振で片付けた。傾きかけた流れをあっという間に引き戻すと、9回裏に備え無表情でベンチに戻った。送り出した原監督の表情もまったく変わらない。口を結んだまま、大きく手をたたいただけだった。
昨年上原が務め上げた、失敗の許されない巨人の抑え。「期待通り。いい火消し」と評した原監督には全幅の信頼があった。開幕直前のチーム練習。右太もも裏に違和感があったクルーンは、フリー打撃登板回避を申し出た。原監督は「開幕に入って、きちっと投げてくれればいい。任せる」と判断を委ねた。16日はグライシンガーとともに名古屋市内のレストランに誘いステーキを共にした。温かい配慮を意気に感じないわけはない。2人には固いきずながあった。
18日、一時帰国し、4試合チームを離れる。試合前にあいさつを済ませ、慌ただしく荷をまとめ帰京した。中日落合監督は「明日帰るから、投げたんだろう。普通は続投か、豊田」と語ったが、原監督の思いは違った。
原監督
最善策を取ったということ。8回になった時点で、流れの中で決めた。今チームは逆の流れの中で戦っている。方程式にあてはまる時と、はまらない時の野球を考えて。
クルーン投入の裏には、この1勝はもちろん、その剛腕でチームの現状を打破したい狙いがあった。
防御率0・00のまま5セーブ目を挙げ「後は任せた」とチームを離れた守護神。代役の構想も、原監督の頭にはしっかりと描かれている。豊田を8回に固定。西村健、野間口の若い力に託す。豊田で万が一、失敗した場合のダメージと、若手で失敗したダメージ。そして成功した時チームに与える勢いと、彼らにとって財産となる経験。てんびんにかけ、熟慮の末に決断した。
クルーンが開けた風穴。同じスピード自慢の若武者が引き継ぎ、1-0の完封勝利で連敗を止めたチームを、さらに上げ潮に乗せる。【宮下敬至】



