<日本ハム4-5阪神>◇1日◇札幌ドーム

 たった1敗だが、緊迫感が充満していた。日本ハム梨田監督は、会見をきっぱりと打ち切った。2軍戦でこの日、2戦連発のアーチが飛び出した中田に対する質問が及んだ時だった。高橋負傷交代のおまけ付きの黒星。入れ替え案の策として、同じ右の新人スラッガーの昇格案には「それに関してはノーコメント。好きなように書いてや」。4時間14分の激闘は、最後の最後まで後味が悪そうだった。

 後手後手に回り、振り出しに戻したが、力尽きた。先発藤井が乱調で、今季最短の3回1/3、3失点で降板。6回には追いついたが、継投策でのガチンコ勝負で、力の差が出た。JFKそろい踏みの阪神とは対照的に、マイケル不在の中継ぎ陣。梨田監督は「タイガースの使い方を見ると、うらやましい」と回想したポイント。坂元-宮西-建山でしのいだが延長10回、コントラストがはっきりした。

 セットアッパーから抑え転向後、8試合目で武田久が失敗。先頭の矢野に中前打を許し、藤本に右中間三塁打の決勝打など2失点を喫した。直後の1番からの上位打線でのサヨナラ勝ちへとリズムをつくりたかったが、その狙いが、この日は外れた。本来ならマイケル-武田久の順で、投入してもおかしくないシーンだった。潤沢なコマがおらず、追い詰められて打った一手だった。

 梨田監督は、現状で考え得る精いっぱい、後悔のないタクトをサバサバと振り返った。「調子が悪い時もあるやろ」。交流戦、今季本拠地6戦目で初黒星、阪神戦の昨季から続く連勝は「5」でストップした。3試合連続の1点差試合の消耗戦で払った代償は、1敗以上に、重かった。【高山通史】