<阪神4-1オリックス>◇9日◇甲子園
打球は糸を引くように三塁線を突き破った。0-0の4回無死二、三塁のチャンスで4番金本だ。カウント2-0と追い込まれた。3球目、外に外そうとした近藤の球がストライクゾーンに入ってくる。失投を逃すわけがない。すべてにおいて金本が上回った。
金本
初回に先制点のチャンスでゲッツーを打ってしまった。(その際)下柳がすごい顔をしていたので、なんとか打てて良かったです(笑)
お立ち台では笑わせたが、そのときは天をあおいだ。初回の第1打席も1死一、二塁のチャンス。しかし金本は二ゴロ併殺に倒れた。自身今季2個目の珍しい併殺打でチャンスをつぶした。だが、次の打席であっさり取り返すから、猛虎の「4番」は頼もしい。
足でも士気を高めた。2点先制の直後、続く5番葛城の右前打をオリックス浜中が弾くのを見ると、迷わず三塁へ。岡田監督も「抜け目がない」と目を細めた走塁を見せると、続く6番鳥谷が放った左翼線への浅い飛球でタッチアップし、3点目のホームを踏んだ。「ノー文句でGOだと思った」。足でも点を稼ぎ、チームの士気を高めた。
「(最近)シモに勝ちがついていなかったから。今日は勝ち投手を、という気持ちはあった」。
いつも以上に芽生えた、勝利へのこだわり。同じ1968年生まれの左腕に対する思いがあった。4月13日。金本が2000本安打を達成した翌日だった。横浜から帰阪し、チームメートによる「お祝い会」が行われた。幹事は下柳だった。偉業達成まであと1本に迫りながら苦しんでいた時は、登板機会がない「上がり」の日でも、ベンチ裏で2000本目のヒットを待っていてくれた。今度は勝ち星から見放されていた下柳を助ける番だった。そして40歳コンビの「勝利投手&勝利打点」という史上初の快挙を生み出した。お立ち台では大観衆の前でも、隣の下柳と「こそこそ話」。幸せな瞬間だった。
大きなタイムリー1本に終わらず、安打を重ねて今季8度目の猛打賞をマークした。連続試合安打も「8」に延ばし、打率を3割4分と上げてリーグ3位に浮上した。絶好調でも試合後はベンチ裏で素振りで状態をチェックと変わらない“儀式”を終えた。この姿勢が頼もしく、たくましい40歳につながっている。【佐井陽介】



