阪神の快進撃を支えるベテラン桧山進次郎外野手(38)が、代打の「極意」について語った。代打打率4割5分5厘、両リーグ最多10安打と絶好調な理由はベテランらしい心体の絶妙なコントロール術だ。球団初の1000三振にも残り4個。3年ぶりリーグ優勝、そしてプロ17年目で自身初の日本一に、全力スイングで貢献する。

 --代打で22打数10安打6打点。全体の打率も3割8分1厘。打率1割台に終わった昨年との違いは

 桧山「今季に関して言えば3打席目に初ヒットが出たのが大きかった(※1)。(代打10打席目だった)去年と違って、早い時期に1本出たから。あれで気持ちがグッと楽になった。代打というのは結果が大事。去年、代打であれだけヒットを打った真中や立浪さんといった実績ある選手でも、今季あれだけ苦しんでいるんだからね(※2)。いかにヒット1本が自分を楽にするかだよね」。

 --代打、右翼、DHスタメンと固定されないが、勝負強さが目立つ

 桧山「野球をやっている以上、絶対に満足というのはない。打率10割を打てない限りはね。ただそればかり考えていては前向きに考えられない。7度は失敗できると思って打席に入るようにしている。万全の準備をして、周りのゲーム全体の流れをしっかり見極めて。1打席1打席落ち着いて集中して臨むこと。力だけ入っても、打てるもんじゃない。心は熱く頭は冷静に、だね」。

 --肉体面でもキャンプからスロー調整を公言した

 桧山「今年はあまり調子に乗って上げないことだけを考えていた。自分は調子に乗って、とどめなくガンガンやってしまうタイプだから。今もそう。打撃練習とかで『ああ調子いいな』と思っても『調子乗るな、調子乗るなよ』って何度も自分の体に言い聞かせている。もう若い時とは違う。明日もまたあるんだから、抑えるところは抑えるんだと、ね」。

 --昨オフは引退かと周囲も騒がしかった。来季の自分を想像することは?

 桧山「今はまったく考えないし、考えられない。毎日毎日、日々新たな気持ちで戦ってる。ジェットコースターみたいに一瞬で、天国と地獄が変わる商売だから。今日打ったからといって、次打たなかったらどうなるか分からないからね。今も少しでも打てない打席があると、何であの球に手出したんだ、何であの球を打たなかったんだと悩む。どん詰まりのヒットでも何でもいい。結果さえ出れば何でもいいと思って必死に戦っている。でも甲子園の大声援がいつも背中を後押ししてくれるし、勇気をもらっている。本当にありがたい。少しでも応えたいと思うね」。

 --阪神球団初の1000三振にあと4個に迫る

 桧山「ついに、そこまできたか(笑)。三振というのはいい成績ではないかもしれないけど、それだけ打席に入っているということでもあるし。なんにしろ名前が残るというのはいいことかな。シーズン最多三振を争った時は、何でこんなにバットに当たらないんやろと思ったけど、今ではいい思い出だよ(※3)」。

 --2位中日に7・5ゲーム差。優勝は見えた?

 桧山「いや、それはまだまだだよ。中日もそんな簡単に諦めるようなチームじゃない。そんな甘い世界じゃないというのは、これまで戦ってきて分かっているつもり。今はクライマックスシリーズがあるけど、1年間、戦っての優勝がしたい。もちろん日本一も。12球団でたった1球団しか味わえない思いなんだから、ぜひ味わってみたい。それに向けて1つでも多く勝利に貢献できれば、と思っている」。【取材・構成=片山善弘】

 ◆(※1)

 4月8日、今季初の甲子園でのゲームだった中日戦。1点を追う7回裏1死一、二塁、代打で登場し、中田から右前に同点タイムリー。この回3点を奪いチームは快勝した。岡田監督は絶好調だった葛城ではなく桧山を起用した理由について「誰が1番工夫して練習しているのか、知っているのか。中田相手に走者を還すのは最初から桧山と決めていた」と語った。

 ◆(※2)

 ヤクルト真中は昨年シーズン代打最多安打記録を塗り替える31安打を放ったが、今季は13打数1安打0打点、打率7分7厘。今季初ヒットは7打席目だった。中日立浪は昨年シーズン代打最多打点にあと3と迫る27打点を稼いだが、今季は27打数2安打2打点、打率7分4厘。今季初ヒットは20打席目。

 ◆(※3)

 97年に巨人清原(現オリックス)とシーズン終盤まで三振数で争った。結局、清原152、桧山150個で終了。清原が当時のセ・リーグ記録を作った。桧山の150三振は現在も球団記録。ちなみに同僚の阪神矢野は今季5月23日、プロ野球41人目の1000三振をマークしたが、中日時代を含めてのもの。現在の阪神通算三振数上位は(1)桧山996(2)掛布897(3)矢野883。