一塁新井はシーズン無失策だ!

 阪神新井貴浩内野手(31)が9日、真弓明信新監督の一塁起用構想をどっしり受け止めた。移籍初年度の今季は一塁手としてわずか1失策。プロ10年目で初のゴールデングラブ賞に輝いたこともあり、年間無失策の偉業を見据えた。守備力重視を掲げる真弓監督は冗談まじりに「あと15年は一塁で」と、新井の永久ファーストを理想とした。

 打球も送球もどんと来い。1球たりとも後ろには通さない。新井が、鉄壁のファーストベースマンになる。シーズンを通して、失策数はゼロ。でっかい目標を、真弓新監督にささげた。

 新井

 始めから、失策を10個以下になんて目指さない。やるからには、ゼロを目指してやっていくんです。エラーはチームのみんなに迷惑がかかる。実際にそういう経験をたくさんしてきたのでね。

 甲子園クラブハウスでのトレーニングを終え、帰路につく前に誓った「無失策計画」。今季の新井は一塁で1失策だった。「2カ月出ていないから」と試合数の少なさ(94試合)もあるが、それでも誇るべき数字だ。今季のセ・リーグ規定到達者では外野手のヤクルト青木、福地と並んで最少。プロ10年目で初となるゴールデングラブ賞に選出されたのは必然だった。

 ただ失策が少ないだけでなく、ダイビングしての好捕やベースカバーへのていねいなトスなど、懸命なプレーでチームメートから信頼を得た。広島時代の三塁から、FA移籍を機にチーム事情で一塁に回った。高知・安芸でキャンプを続ける真弓新監督も、引き続き新井が一塁を守るのがベスト布陣と明言した。

 真弓監督

 基本的には一塁を守ってもらいたい。慣れているからね。あと15年はやってもらおうかな。いくつになるんや?

 15年後に新井は46歳となるが、守れる限りは一塁に居座ってもらいたいという切なる願いがある。

 新井自身は直接、真弓構想を告げられてはいない。「ポジションは何も聞いていない。監督に言われたところを、やるだけですから。一塁でも三塁でもね」。今年2月のキャンプ前には守り慣れた三塁へのこだわりも隠さなかった。だが、一塁でのゴールデングラブ賞受賞が新井を変えた。どこを守るかは問題ではなく、どこでも全力を尽くしてチームに貢献する。それが、まず無失策をゴールに据える考え方につながる。

 キャンプ前には真弓監督から今季の8本塁打が少ないと指摘された。「自分でも少なすぎたと思う。自分はまだ進歩する必要がある」と発奮した。バットだけでなく、ファーストミットでも新井は成長を止めない。【町田達彦】