井川も保証の優良左腕だ!

 元阪神の左腕エースでヤンキースの井川慶投手(30)が13日、アメフット甲子園ボウル観戦のため3年ぶりに凱旋(がいせん)した聖地で、阪神入団が決定的なケーシー・フォッサム投手(31=カブス)に太鼓判を押した。「日本にはないカーブがいい」と大きく縦に割れる魔球「フォッサム・フリップ」を絶賛した。

 井川からの手土産だ。3年ぶりの聖地の土を踏んだ虎の元エースが「日本向きだと思いますよ」と阪神が獲得間近のフォッサムに「井川印」のお墨付きを与えた。「一緒にやっていましたよ。日本にはいないタイプの投手です」。

 メジャー通算40勝左腕は、2種類のスライダーを操り、最大の武器は約50マイル(約80キロ)の大きく縦に割れるカーブ。自ら「フォッサム・フリップ」と命名した魔球だ。「たまにしか投げないんですけど、これが打たれないんですよね。ちゃんと回転をかけて曲げているんですよ。見ているのが楽しいんです」。相手を幻惑する投球に、井川も魅了された。「右打者の内角にどんどん投げ込んで、最後に外角にドーンッといくんですよ」。直球は140キロ台中盤ながら、制球よく投げる技巧派。狩りが趣味という野性派が、日本の打者を打ち抜く姿を想像していた。

 実は太い縁で2人は結ばれていた。07年、井川はメジャー4試合目の登板となった4月23日デビルレイズ戦で、4回1/3を8安打7失点と打ち込まれ初黒星を喫した。このときの相手先発が、フォッサムだった。

 巡り巡って今年の5月。ヤンキース傘下3Aスクラントンで、今度はチームメートになった。フォッサムが在籍したのはわずか2カ月弱だったが、メジャー昇格を果たせない日々の中で相談を持ちかけられた。「日本でやっていけると思うか」。かつてはメジャーでローテーションも守った左腕に井川は答えた。「面白いと思うよ」。この言葉は社交辞令ではなかった。

 阪神はこれまでは外国人助っ人に泣かされ続けた。だが、今オフ補強したメッセンジャーには城島、マートンには福留と、それぞれメジャーで戦う侍がお墨付きを与えている。03年沢村賞投手が絶賛する左腕は「ポスト・ジェフ」を務め、藤川、メッセンジャーと勝利の方程式を築くとみられる。悲願のトラ年Vへ、頼もしい男たちがやってくる。

 [2009年12月14日11時14分

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