虎の穴ならぬ壁を突き破る!

 中日荒木雅博内野手(32)が13日、故郷・熊本で自主トレを公開した。豪雪の中、あらためて今季の目標に盗塁王&優勝を宣言。そのために最大の障壁となる阪神・荒木雅博捕手(33)に“挑戦状”をたたきつけた。これまで捕手を敵視してこなかった荒木が唯一、警戒する強肩捕手。荒木vs城島の対決が今季のセ・リーグを熱くする。

 今季にかける荒木の決意は、降りしきる雪をも溶かすほど熱かった。「盗塁王をとって、優勝する」-。昨年中から公言していた新年の誓いははっきりしていた。そして、そのために最大の障壁となる相手もはっきりイメージできていた。

 「基本的に盗塁は投手との勝負なんですけど、城島さんは投手(のミス)を補える人。僕の目標のためには超えなければいけないでしょう」

 6年連続30盗塁を記録している“スピード・スター”の盗塁哲学の1つが、盗塁は投手との勝負であるということ。相手投手のフォームさえ盗んでしまえば、捕手がどんなに強肩でも間に合わない。そう思って通算272盗塁を築き上げてきた。

 ただ、城島だけはそのセオリーに当てはまらない。荒木には鮮明に覚えているシーンがある。05年5月29日、ソフトバンク戦(ヤフードーム)7回に四球で出塁すると、相手左腕フェリシアーノのフォームを完ぺきに盗んだ。普段なら軽々とセーフになるところだが、捕手城島からの送球で間一髪のタイミングまで追い込まれた。

 「完ぺきなタイミングで走ったのに、ぎりぎりセーフだった。城島さんから走ったのは1度だけですが、はっきり覚えています。(送球が)強くて、正確なんです。超一流ですね」。たった1度の対決だったが、はっきりと記憶に刻まれた。だからこそ、ライバル球団阪神に加入した城島が盗塁王への大きな壁となる。5年ぶりとなる対決へ荒木の鼻息は荒い。荒木vs城島が今シーズンのセ・リーグの名物になる可能性も高いだろう。

 この日、熊本地方では記録的な豪雪となった。それでも荒木は早朝7時からランニングを開始すると、出身中学校の体育館を借りてキャッチボール、素振りを行った。さらに、その後は公営の施設に移動して筋力トレに汗を流した。午後4時までみっちりと体を鍛えた。「どんなに練習しても結果を残さなければ意味がない。今年はそういう年です」。城島という強敵に刺激を受けた荒木の眼光は例年にも増して鋭かった。【鈴木忠平】

 [2010年1月14日10時27分

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