ロッテが12球団のトップを切って「佑ちゃん獲り」を確約した。14日、千葉マリンスタジアムで今年初のスカウト会議を開き、今秋ドラフト会議で早大・斎藤佑樹投手(21)を1位で指名すると正式表明した。瀬戸山隆三球団社長(56)は「12球団競合してもぶれません」と断言。98年の「松坂世代」以来、豊作といわれる「ハンカチ世代」。シーズン中の密着マークはもちろん、背番号も前エース清水直行(34)が横浜へ移籍して空番号となっている「18」を用意するなど、年明け早々から万全の佑ちゃんシフトを敷く。

 ロッテが他球団を圧倒する先制攻撃を仕掛けた。約1時間のスカウト会議終了後、瀬戸山球団社長が予定になかった記者会見を急きょ開いた。「斎藤君の1位指名を確認しました。今年の斎藤君の成績や、ドラフトで12球団が競合してもぶれません。斎藤君あるのみです」と、12球団の先陣を切って斎藤の1位指名を断言した。

 ここ数年のロッテのドラフト戦略は秘密主義を貫き、ドラフト当日に指名選手が変わることもしばしばあった。それが一転、異例の早期公表の背景には、抽選とはいえ「誠意」を示して万全を期したい思いがあった。ロッテのドラフトといえば、小池、長野ら最近20年で12球団ワーストとなる3選手から入団拒否されている。石川晃副代表は「甲子園からファンを引っ張ってきた斎藤佑樹という人間に対して、また早大という伝統ある大学に対して敬意を表したかった」と、ただならぬ意気込みを語った。

 「誠意」はこれだけではない。背番号もエースナンバーを用意する。同副代表は「彼のために背番号を空けて待っているんだから」と話し、入団した場合は前エース清水が移籍して空き番号になっている「18」を用意する構えだ。斎藤は昨年末に「もし選んでいただけるなら、1位で選んでもらうのはうれしいこと。それをどこが選んでくれても、自分は行きたいと思います。12球団OK?

 OKです」と話しており、くじで引き当てた場合は入団に支障はなさそうだ。

 その一方で、他球団からは斎藤の「伸び悩み」を指摘する声もある。早実時代から注目を集めていたが、昨秋のリーグ戦では8試合に登板するも3勝2敗、防御率3・08と苦しみ、チームも4位と低迷した。瀬戸山社長は「この1年で一回り成長してくれると信じている。マイナスのことは考えない」と一蹴した。06年夏の甲子園では楽天田中との投げ合いを制して優勝投手となったように、持っている実力は疑いようがない。松本編成統括は「もともと修正能力高い選手。3年生で悪かった分、しっかり直して結果を残してくれると思う」と、成長に期待した。

 人気、実力を兼ね備えた「ハンカチ王子」の存在は、2年連続Bクラスさらには観客動員数減少にあえぐロッテにとって、のどから手が出るほど欲しい逸材であることは間違いない。ドラフト会議で西村監督がクジを引くことが決まっているが、石川副代表によれば「絶対に引く」と、早くも自信を見せているという。今後は2月下旬の早大ロサンゼルスキャンプに編成部の鈴木顧問と新里スカウトを派遣して密着マークさせるほか、リーグ戦もフルカバーで獲得に全力を挙げる。【鳥谷越直子】

 [2010年1月15日9時17分

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