<阪神4-3広島>◇9日◇甲子園

 定位置について帽子を取り、高々と右腕を上げる。グラウンド上では普段、あまり喜怒哀楽を見せない男が誇らしげに、ファンの“カーテンコール”に応えてみせた。マット・マートン外野手(28)だ。

 同点の7回。2死一、二塁と、この試合最大のヤマ場で打席が巡ってきた。直前の代打金本は中飛。勝ち越せば8回から久保田、藤川とつぎ込める局面で、何としても得点が欲しかった。ベンチ、ファンの期待を一身に背負った赤毛の助っ人は、腹をくくった。

 「状況を見て自分のやるべきことだけを考えていた。そこにいい球がきた」。147キロの外角直球を逆らわずに、右中間へはじき返した。2者が生還。決勝適時打となった。

 「走者を返すのは打者として誇りを持っている。チャンスに強い打者としてシーズンを戦いたい」。4月を終えての得点圏打率は1割7分6厘(17打数3安打)と低調だったが、5月に入って9打数5安打と大当たり。同打率は一気に3割8厘に上昇し、ここ3試合すべての勝利試合でヒーローインタビューに呼ばれている。

 母の日のこの日。すっかり常連のお立ち台で開口一番「ハッピー・マザーズ・デイ」と声を上げた。米国に住む自身と妻ステファニーの母には、孫の名前入りネックレスにカードを添えて贈った。「今夜は妻とロッコー(六甲)にあるおいしいイタリアンに行くんだ」とウインク。家では頼もしいマザーである愛妻へのプレゼントもタイムリーだ。【石田泰隆】

 [2010年5月10日11時6分

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