<阪神5-2横浜>◇27日◇甲子園
投のヒーローはジェイソン・スタンリッジ投手(31)だ。前半戦終了直前には急性胃腸炎を発症し4日間、寝たきりだったが、プレッシャーのかかる後半戦開幕を7回1失点。11奪三振の力投でチームの首位浮上を呼ぶとともに自身6連勝を飾った。ナイターが得意で知られる男の月間防御率は1・09。夜王は真夏の帝王でもあった。投壊に悩む巨人とは対照的に、後半戦のローテの柱がきっちり誕生だ。
夜王は「夏男」の称号も手に入れた。心地よい風が吹くマウンドが、スタンリッジの奪三振ショーのステージだった。3点のリードの7回、4番村田からこの日10個目の三振を奪い、スレッジも3球で追い込んだ。8球目までもつれた勝負を、内角低めのカーブで空を切らせた。大歓声のスタンドとは対照的に、マウンド上の男は冷静だった。
スタンリッジ
ストライク先行でいけて、早い段階で打ち取れた。ジョーもしっかりタイミング外すリードをしてくれたし、ブラゼルの2本の本塁打もパワーになったよ。
省エネ投法がリズムを生んだ。打者24人のうち16人の初球がストライク。7回3安打1失点、106球の快投で7勝目。今季チーム最多、そして自己最多の11奪三振。自身最長の6連勝にナイターでは7連勝。7月は4試合で3勝0敗、防御率1・09。暑さに比例し安定感も増してきた。
病み上がりとは思えぬ投球だった。前回登板の19日広島戦(甲子園)で6勝目を挙げて帰宅すると急性胃腸炎を発症。体温は39度まで上がり、4日間を寝たきりで過ごした。「病気がひどく何を食べたか覚えていない」。ジョイ夫人の手作り料理も「おいしかったのは覚えているけど…」というほど限界を超えていた。
ただ、極限状態でも居場所を手放すわけにはいかなかった。シーズン途中に日本球界に復帰した男は入団直後、助っ人らしく“ない”悩みを抱えていた。「僕が1軍に上がるということはフォッサムか、メッセンジャーの仕事を取ってしまうということ。そう考えるのが辛いんだ」。
日本に渡って野球をする選手の苦労が分かっていた。後ろ盾のない仕事場で、自身も起用法が定まらず悶々とした時期もあった。5月上旬の先発転向後も幾度となくマウンドでブーイングを浴びせられた。苦難を乗り越えようやく手に入れた居場所だった。
揺るぎないローテの柱の好投で首位を奪取した。「自分たちが上になることで、ターゲットにされて追いかけられる。だけど、本当にいいチームだし、優勝できると本当に信じている」。はっきりと「優勝」と口にできる権利を手に入れた。【鎌田真一郎】
[2010年7月28日11時54分
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