<中日3-2巨人>◇3日◇ナゴヤドーム

 

 最強セットアッパーが巨人の前に立ちはだかった。中日浅尾拓也投手(25)が05年の阪神藤川球に並ぶプロ野球記録、20試合連続ホールドポイントを挙げた。2点リードの8回を託されると、1点差とされ、なお2死一、二塁。4番ラミレスを迎えたが、ここから鬼気迫る投球を見せた。

 1発出れば、優勝の行方さえ左右しかねない緊迫の場面。3万人を超える観衆がかたずをのんで見守った。外角への3球で1-2。打者有利のカウントでこん身の151キロ速球で内角をえぐった。必死にファウルで逃げたラミレス。「甘くなって打たれたら意味がない」。1球で形勢は逆転した。最後は外角スライダーで力ない右飛に仕留めた。リーグ2冠を真っ向からねじ伏せた。

 「あの3人がいって終わらなきゃ。シーズンが終わったらゆっくり休めるよ。ハハハ…」。落合監督がすべてを託すように、高橋、岩瀬とともに形成する「必勝方程式」は登板数、防御率ともに球史に残る鉄壁さを誇る。その中核を担う浅尾が、球界トップのリリーバー藤川球の記録に並んだ。日々、勝敗を背負う重圧に打ち勝ってきた証しだった。

 「ホールドがつくということはいい場面で投げさせてもらっているということ」と浅尾。これでチームのナゴヤドームでの巨人戦連勝は7に伸び、06年以来4年ぶりの同カード勝ち越しも決まった。8月19日以来の2位に浮上。首位阪神とのゲーム差は1・5に縮めた。ぎりぎりの戦いの中、浅尾が力を振り絞る。【鈴木忠平】

 [2010年9月4日8時10分

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