<中日7-2横浜>◇11日◇ナゴヤドーム

 仲間たちが奪った首位の座を中日山本昌投手(45)がガッチリと守った。5回2/3を2失点で、現役続行へのノルマとしていた5勝に到達。それでも「きょうは今までの先発の中で一番しょぼかった。みんなが頑張って、5点ももらったのに僕がこれじゃあ、情けない」。まるで敗戦投手のような表情だった。

 8月7日の今季初登板初勝利から無傷の5連勝。45歳の快進撃の裏には、常に自分を進化させようという努力がある。今季、投球フォームを改造した。「毎年、フォームを変えている」と言うが、例年、見た目にはほとんどわからない。だが、今季の違いは明らかだという。「確率は落ちるんだけど、タイミングが合った時のストレートは今までのよりも力があるんだ」。右足を高く上げた後、グラブをポンとたたくような1拍の間(ま)ができた。生命線である直球の威力を増すためだった。27年目で「最高の直球」が威力を発揮している。

 通算210勝目で杉下茂氏の球団最多勝記録(211勝)に王手をかけたが、「きょうの投球では何も言えない。次だね、次!」。一戦も落とせない険しい道のり。次回登板はさらに重圧がかかる。大記録の先に、悲願のV奪回がある。【鈴木忠平】

 [2010年9月12日10時22分

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