投げては読み、読んでは投げ…。成功への道は一流本の読破から!?

 ドラフト1位の大野雄大投手(22=佛教大)が10日、名古屋市内の「昇竜館」に他の新人4選手とともに入寮。大先輩山本昌の自伝を始め、成功へのバイブルとなる野球本8冊を持ち込んだ。まずは一流選手の「教え」を頭にたたき込み、プロの世界に飛び込む。

 部屋に持ち込んだのはプロで成功するためのヒントがちりばめられた宝物だった。ドラ1左腕は大事そうに真新しい本を抱え、目を輝かせた。

 「この本は大学職員の方からもらいました。まだ読んでいないですけど、これから全部読みたい。これは自分のためになると思う」。

 厳選された8冊だ。星野伸之(現オリックス投手コーチ)の著書「真っ向勝負のスローカーブ」や川口和久(現巨人投手総合コーチ)の「反逆の左腕」など8冊中、4冊は「左腕バイブル」とも言える代物。あとの4冊はドラゴンズやイチロー関連の書籍だ。すべてを読破すれば、自然とプロの世界で成功するヒントがつかめるというわけだ。

 そこにはプロで生きる術が記されている。本棚に並んだタイトルは「怪速球」、「スローカーブ」…。最速150キロ超の本格派左腕にとって、どちらかと言うと真逆のフレーズが並ぶ。それでも「バッターの心理とか配球を勉強しないといけない」。制球と緩急、そして投球術を身につけることがプロで成功する近道だと自覚しているのだ。

 ただヒントにするだけではない。コミュニケーションの手段の1つとしても考えている。「これを読めば、ここから話も広がりますよね」。大野が見つめたのは今季28年目の大ベテラン山本昌が書いた「133キロ怪速球」だ。球界最年長投手の経験がギュッと詰まった本を熟読することで、名球会左腕との会話のきっかけにしようと考えている。

 今日11日からは新人合同自主トレが始まり、2月のキャンプインまでは忙しい日々が続く。「普段はあまり本を読むことはないです。いつも途中で終わっちゃうんです…」。プロで成功するために練習の合間を縫って本と向き合う。ドラ1左腕が読書家に生まれ変わり、自らのサクセスストーリーをつづっていく。【桝井聡】

 [2011年1月11日11時52分

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