<ヤクルト4-3中日>◇4日◇神宮

 ヤクルト由規投手(21)が得意の中日戦をタフな投球でものにした。8回5安打2失点で今季3勝目。中盤以降のピンチを粘りながら乗り越え、4月20日の前回対戦で3安打完封した中日からまた白星を挙げた。昨季からの精神面の成長を示す内容で、中日戦はプロ通算9試合で4勝負けなし。チームも3連勝で今季最多の貯金7となり、首位をがっちりキープした。

 接戦を制した直後の神宮のスタンドから、ヤクルトファンの驚いたような歓声が上がった。「やばいほど強いな」。9回の追撃もしのいで1点差の逃げ切り勝ち。昨年から続く中日戦の連勝を8に伸ばした。詰め寄られても抜かせない、ピンチを迎えても崩れない。その粘り強さを象徴していたのが、チーム同様に3連勝を飾った由規だった。

 「危なげない」8イニングではなかった。だがピンチでこそ自慢の速球を、冷静かつ大胆に投げ込んだ。6回1死一、二塁では4番和田に対し、外角低めの変化球を3球続けてから内角高めの146キロ速球で詰まらせて三ゴロ併殺に仕留めた。8回無死満塁でも井端を低めの149キロ速球で二ゴロ併殺に退け、最少失点で切り抜けた。「とにかく粘り強くということを心がけた。ピンチの場面でも冷静に投げることができた」。これで中日戦は通算9試合で4勝無敗、59回2/3で被本塁打ゼロ。経験とともに成長を遂げたヒーローは胸を張った。

 「今までは打たれちゃいけないとただ力が入っているだけだった」と自ら振り返る過去の経験から学んでいた。困ったら深呼吸。そして「冷静に、冷静に」と帽子の裏にも書いてある言葉を、マウンド上で自分に言い聞かせるようにつぶやいてピンチを乗り越えた。最速は151キロでも「スピード以上に指にかかっている感じがした」と落ち着いていた。精神面の成長には荒木チーフ兼投手コーチも「両サイドに投げ分けている由規を初めて見た。ああいう投球ができるようになったのはすごくいいこと。暴れ回るのもいいけど、今日みたいに投げてくれればいい」と感心した。

 仙台出身の由規は「地震があった直後と今とでは気持ちが違う。励まさなきゃいけない立場なのに、いろんな人に励まされている。結果は出さなきゃいけないという気持ちが強い」と真剣な表情で語った。チームは中日戦の連勝を8に伸ばし、3連勝で首位キープ。勝ちながら成長するヤクルトがここにきてさらに勢いを増してきた。【大塚仁】