<中日6-0巨人>◇8日◇ナゴヤドーム

 やられたらやり返す-。中日荒木雅博内野手(33)が1安打3打点と活躍し、本拠地での巨人戦3タテの“屈辱”を免れた。2試合続けて巨人の1番坂本に決勝打を浴びていたが、お返しとばかりに竜のリードオフマンが大暴れした。負ければ最下位転落の可能性もあったチームは一転、4位に浮上した。

 口火を切ったのは竜のリードオフマンだ。3回に犠飛で1点を先制。5回のビックイニングも、荒木が火をつけた。2死二、三塁から先発トーレスのカットボールに食らいつき中前に転がした。2試合で1得点と眠っていた打線を、鮮やかな2点適時打でたたき起こした。

 荒木

 (先発川井が)しぶとく粘っていたので何とかランナーをかえしたかった。これまでも申し訳ない気持ちがありましたから。

 直後に井端が右翼線に二塁打を放つと、スタートを切っていた荒木は一気に本塁へスライディング。続く森野は2号2ランを右翼最前列にぶち込んだ。実に78打席ぶりに本塁打を放った3番打者は「久しぶりに何も考えずに打つことができた。そういう状況で打たしてくれた1、2番に感謝です」と流れを作った荒木に頭を下げた。

 粘投を続ける左腕を言葉でも勇気づけた。5回に2点タイムリーを放つ数分前。1死一、二塁から打席に向かう先発川井を呼び止めて言葉をかけた。「絶対に(走者を)かえすから」。送りバントを成功させた左腕に、投球を楽にする追加点をプレゼントした。

 荒木

 どこから(そういう言葉が)出たか分からないけど、頑張っていたんで言ったと思う。

 卓越した技術で球界をリードしてきた。プロ16年目。もちろん、毎試合を万全な状態で迎えているわけではない。思うように体を動かせないこともある。ただ、そんな時も起床すると無意識のうちに準備体操をしているという。それが常勝球団の1番打者だ。ライバルの若き1番遊撃手にも決して負けない。

 荒木

 こういう状況でも勝っていかないといけない。なるべく早く「負け」を返してドンドン勝っていきたい。

 久々に投打がかみ合っての勝利を手にした。立役者は間違いなく荒木。5月反攻に向けてチームを先頭で引っ張る。【桝井聡】