<西武1-4巨人>◇5月31日◇西武ドーム
巨人のルーキー沢村拓一投手(23)が、プロ初完投でやっと2勝目を手に入れた。プロ入り最多の130球を費やし、西武打線を4安打1失点に抑えた。過去5試合、好投しながらも援護がなく、4月21日のプロ初勝利以来、白星から遠ざかっていた。沢村に借りばかりつくっていた打線も、長野の逆転6号2ランなどで4点を援護した。
笑顔を見せたのは勝利の瞬間だけだった。9回でも球速は落ちない。最後の打者フェルナンデスの打席で直球は148キロを4度マーク。最後はスライダーで空振りを奪い、沢村はリーグトップタイとなる50奪三振で試合を締めた。右拳を強く握りしめ、ナインとのハイタッチに表情が緩む。それでも、試合後は「野手のみなさんが点をとってくれたので、楽になりました。チームに迷惑をかけていたし、この試合を機に頑張っていきたい」と笑顔を封印した。
プロ初完投は130球の熱投だった。1回から150キロ超えの直球を連発し、4イニング連続で3者凡退。中島、中村ら球界を代表する打者から140キロ台後半の直球でファウル、空振りを奪うなど、威力は抜群だった。それでも「(感触が)いい悪いは勝ち続けないとわかりません」と、気を緩めることはない。苦しむなかで、ある答えにたどりついていた。
遠かった2勝目。勝てない中、修正すべき点はわかっていた。「1、2、3」と単調になりがちだった投球フォーム。「阿部さんに言われて変えたんです。イメージは(ソフトバンクの)杉内さんのような感じです」と前回登板5月23日のオリックス戦で、意識的にゆったりとしたフォームを心掛けた。
その試合から中7日。1日2度、寮で映像を見て、目に焼き付けた。150キロはいらない。打ちにくい球を投げればいい。その考えが、沢村をさらに進化させた。遠征先では休日の時にも、チーム宿舎の施設などでバイクをこいだり、シャドーピッチングでフォームを確認したり、隠れた努力も怠らなかった。
経験を無駄にはしない。「勝てなかったときは正直苦しかった」と、プロ初勝利後の40日間を振り返り、「今後勝っていった時に、負けてよかったと思えるように、充実したシーズンにしたい」と、プロ人生の糧にしていくことを誓った。原監督も「まだまだ彼の場合は自分の登板、自分の1球というものが、歴史に変わっていくわけですから。まだ振り返っている必要はないでしょう」と、経験を積むことの大事さを説く。まだ2勝。もっと上へ。沢村は当然、満足はしない。【斎藤庸裕】



