<中日5-3阪神>◇6日◇ナゴヤドーム

 小池、はまった、満弾だ!

 3点ビハインドもなんのその。中日は6回に小池正晃外野手(31)が左中間へ逆転の満塁弾を放ってトラに快勝した。3日巨人戦から一塁を任されている伏兵が最高の結果で応えた。前夜には9回にお祭り男小田がサヨナラ打で、この日も一刺しでトラに連勝。勢いが止まらない。

 イケイケ男が一撃でトラを沈めた。2点差とした6回1死満塁。平田が空振り三振に倒れて小池が打席に立った。阪神の2番手福原が投じた初球の144キロ直球。思いっきり振り切った。打った瞬間、それと分かる強烈な音。ドームの天井をなぞるような打球が左中間スタンド中段に着弾した。今季、チームでは初めてとなる満塁弾だ。

 「振って前に飛べば何か起こると思っていた。一発はまったく頭になかった。手応えはあったし最悪でも(外野手を)越えてくれるかなと思っていた」。

 勢いが止まらない。6月19日オリックス戦でサヨナラ弾を放ち、本拠地のお立ち台に上った。3日巨人戦からは不振のグスマンに代わって一塁で先発。そのゲームで勝利を決定づける2ランを放った。規定打席には到達していないが、打率は4割1分5厘。2軍で開幕を迎えた男が今では、チームになくてはならない存在だ。

 好調の秘訣(ひけつ)は口元にある。昨季の日本シリーズから取り入れている「マウスピース」だ。通っている名古屋市内の歯科医院で勧められた。「多少詰まった当たりでも意外に飛んでいるというときがある。最初は違和感があったけど、今は練習の時からつけている」。インパクトの瞬間に最大の力を引き出す秘密兵器。グラウンド外でも歯を食いしばり、パワーを蓄えた。

 満塁弾がクライマックスだった6回の大逆転劇。幕開けは1番大島、2番岩崎達が連打でつないだチャンスだった。前日5日には開幕から出遅れていた小田がサヨナラ打を放った。連日のように“脇役”が活躍。落合監督は試合後、苦笑いを浮かべてこう話した。

 「必死にやらないやつはグラウンドにいたらいけない。そういう世界じゃないの。あとは小池に聞いてやって。(満塁弾は)今年初めて。打たれるのは何度も見たけどな」。

 1週間前、横浜スタジアムで2戦連続満塁被弾という屈辱を味わった。その後荒木と井端が3日連続でスタメンを外れる、本来なら絶体絶命の大ピンチ。ただ、中日は簡単には転ばない。【桝井聡】